ある日の午後、青い空に、飛行機雲が薄く広がり、その下にアルプスの山々が連なっています。庭のコスモスは、赤、ピンク、白、満開です。
翌日は、山々は見えず、時々雨がぱらつく天気でした。 午後、F医院に行って驚きました。 医院の前の駐車場にテントが張ってあって、熱のある方はそこで待機するようにと書いてあります。 それでもそこには誰もいないようでした。 コロナ感染が隣町まで来ているのだと感じました。 医院の玄関にサーモグラフィがあって、熱のある方をチェックするようになっています。 アルコール噴霧で両手を消毒し、中の待合室に入ると、マスクの老人が3人、椅子は一つ置きにバツ印がついて間隔を空けて座っていました。 採血をしましたが、結果が出るのは翌日とのことでした。 処方箋をもらい、明日電話で検査結果を聞き、そのまま飲み続けて良いかを確認することになりました。

Gさんは、退職祝いとして、木箱に入った立派な日本酒を、自分で買って台所に置いてありますが、一度も封を切っていません。 来年の春、タラの芽が出た時には抗がん剤の内服が終わる、その時までお預けです。 長く飲んでいないから、きっと、少しだけ飲んでも酔ってしまうだろうと思いながら、今夜もこの木箱を一瞥して休みました。

シリーズ「灯をかかげながら」 ~都立駒込病院名誉院長・公益財団法人日本対がん協会評議員 佐々木常雄~
がん医療に携わって50年、佐々木常雄・都立駒込病院名誉院長・公益財団法人日本対がん協会評議員の長年の臨床経験をもとにしたエッセイを随時掲載していきます。なお、個人のエピソードは、プライバシーを守るため一部改変しています。
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