日本対がん協会

お知らせ

【がん相談ホットライン 2024年度のまとめ】相談件数1万210件 前年度並み

2026年05月26日

がん患者や家族などから無料で相談を受ける「がん相談ホットライン」の2024年度の年報がまとまりました。相談件数は1万210件となり、前年度に続いて1万件を超えました。

2024年度のまとめ

ホットラインは予約不要で、相談者・相談員ともに匿名で実施し、看護師や社会福祉士が相談に応じます。2024年度の相談件数は月平均約850件で前年度比99.9%でした。月別の相談件数は5月が988件で最も多く、9月909件、10月908件と続きました。

2024年度 月別相談件数

2024年度月別相談件数グラフ

年度別相談件数

年度別相談件数グラフ

相談者の男女比は女性が80.8%(8251件)、男性が19.1%(1953件)で、例年と同じく女性からの相談が多くなりました。年代別では、50代が38.0%(3876件)と最も多く、次いで60代20.0%(2044件)、40代12.1%(1236件)、70代10.1%(1033件)などとなりました。

続柄をみると、患者本人が74.5%(7610件)と最も多く、次に娘8.6%(881件)、妻4.6%(467件)となっており、この傾向は例年と変わりませんでした。

相談の疾患部位

相談の疾患部位グラフ

相談を受けた疾患部位は、乳房34.3%(3499件)、腎・尿管・膀胱11.7%(1191件)、大腸10.7%(1092件)、肺8.2%(834件)など。乳房は前年度から6ポイント(606件)増加しました。腎・尿管・膀胱が多いのは、頻繁に利用した相談者がいたためです。

一方、相談内容の全項目の集計では、「不安・精神的苦痛」が最も多く7659件、次いで「症状・副作用・後遺症」4824件、「がんの治療」3393件などとなりました。

相談内容の総件数

相談内容の総件数グラフ

相談実績から見えてきたもの

主たる相談を集計した「相談の内容」は「症状・副作用・後遺症」が最多ですが、相談内容の全項目を集計した「相談内容総件数」は「不安・精神的苦痛」が最も多く、どの相談も根底に不安があるといえます。

患者と家族の相談内容の上位10位を比べると、患者は「症状・副作用・後遺症」、家族は「がんの治療」が最も多くなっています。患者は副作用やがんの進行に伴う不安のため、症状に関する相談が多いのに対し、家族はできるだけ長く生きてほしいと願って相談してくる傾向があるため治療に関する情報を求めた相談が多くなります。それぞれ順位に違いはありますが、6項目が共通しており、患者も家族も患者・家族間の関係や医療者との関係、コミュニケーションで悩んでいることが伺えます。

その一方で、患者は「生きがい・価値観」の項目が入り、がんになって改めて自分の生き方などを考える過程での相談が多い傾向に。これに対し、家族は「ホスピス・緩和ケア」が入り、先を見据えて緩和ケアを知っておきたいとの相談が多くなりました。

グリーフケアの相談も寄せられましたが、診断・治療中からの利用者が引き続き相談してこられるケースや、患者の他界後、医療機関とのつながりがなくなり、話せる場所がない、とかけてくるケースがあります。遺族には継続的なサポートが必要だと感じます。

二度目以上の利用者で多かったのは、治療選択時に集中的に電話をかけてこられる方、受診前後や検査前に気持ちが落ち着かないとかけてこられる方、 不安が強く「一人になると怖い」と人とのつながりを求める方、「話を聞いてほしい」という方などです。

気になる相談

認知機能の変化に伴う悩み

がんの治療に伴って記憶・思考・集中力などの認知機能が変化することがあります。薬物療法に伴う「ケモブレイン」では、物忘れが増える、集中力・判断力の低下、考えがまとまらない、何をするにも時間がかかる、同時に複数のことができないといった症状があります。ただし、こうした症状が必ずしも出るわけではありません。

症状が出る場合も出方や程度、期間はさまざまです。相談の中には、以前と変わらず働けている人がいる一方で、思うように働けないという相談もあります。「以前のように効率的に仕事がこなせない」「集中力に欠け、ミスが増えた」との内容で、「周囲に迷惑がかかるので申し訳ない」「以前の自分と仕事能力が違うので落ち込むし、悔しい」「見た目ではわからないため、周囲の理解が得られず、非難されることもある」などの戸惑いや悩みを抱えています。

ホットラインの相談員は、相談者の悩みに寄り添い、治療後に起こり得る症状を説明し、心の負担が軽くなるよう努めています。悩みに応じた相談先の提案、周囲のサポートが得られるような助言、相談者がいまできそうなことを一緒に考えています。

今後、このような症状があることを多くの人に知ってもらえれば、周囲にも打ち明けやすくなるように思います。さらに、働き方の工夫につながり、少しの思いやりで働きやすい環境になっていくのではないでしょうか。

対がん協会報 第765号では、2024年度のまとめの詳細や、「気になる相談」として、「コミュニケーションの難しさを抱えた人」についても掲載しています。併せてご覧ください。

相談者からの感謝の言葉

診断前

前がん病変の経過観察で自分が悩んでいることを理解してくれて、共感してもらえて良かったです。

治療前

ホットラインを利用することで、医療者に言いたい気持ちを口にだして話す訓練ができていると感じます。そしてまとめて考えることができる思考にもなれたと感じます。

治療中

助けてくれる人がこの電話の向こうにいるんだな、と思いながら電話をしています。いつもありがとうございます。

治療後

残された時間が少ない中でも心が穏やかになりました。痛みも和らぎました。不思議ですね。少し気分転換してきます。

家族から

退院後の生活への不安がありましたが、院内の相談室は混んでいて相談できなかった。土日は病院の相談窓口はやっていないためどうしたらいいかと思っていましたが、相談できるところがあって本当に助かりました。

友人知人から

とても安心しました。AYA世代の話を聞けてとても安心しました。友人もサポートされていると良いと思う。

遺族から

親のがん闘病を支えてきたが、とうとう亡くなりました。病気になってからずっと、この電話で救われました。ありがとうございました。

ホットラインの受付時間は年末年始を除き、毎日午前10時~午後1時と午後3時~午後6時。相談時間は20分程度(目安)。予約不要で、相談者・相談員ともに匿名で実施し、看護師や社会福祉士が相談に応じています。
※無料でご利用いただけます