検診の意義と目的

大腸がんは早期に発見して治療すればほぼ治癒が可能です。
しかし、大腸がんの死亡者数は食生活の欧米化もあり、年々増加しています。近年、女性では死亡者数のトップとなっています。

1.大腸がん検診の意義と目的

大腸がんの一次検診では、便潜血検査だけが科学的に有効であると証明された方法です。無症状のうちに検診を受診した人では、早期の大腸がんが発見される可能性が高く、その段階で治療すれば、ほぼ治癒が可能です。

 
大腸がんの臨床病期別5年相対生存率

臨床病期 全症例 手術症例 病期判明率 追跡率
大腸 生存率 98.8% 90.9% 85.8% 23.3% 16,005 14,000 96.7% 97.7%

※【5年相対生存率】 がんと診断された場合に、治療でどのくらい命を助けられるかを示しています。がんと診断された人のうち5年後に生存している人の割合が、一般の日本人の5年後の生存率と比べてどのくらいなのかをパーセントで表しています。

出典:全がん協加盟施設の生存率共同調査
全がん協部位別臨床病期別5年相対生存率(2011-2013年診断症例)

上の表にあるように、がんが発見できても臨床病期(進展度、ステージ)が進んでいる状態で見つかった場合は、5年生存率が下がります。早期がんのうちに発見して治療することが重要です。
「がん検診では」でお伝えしたように、がん検診の目的は「一定の集団の中で、がんで亡くなる人の割合(死亡率)を減少させること」です。検診を行う私たちは、より精度の高い検診を提供できるよう努力します。みなさんも検診の意味を正しく理解し、定期的にきちんと受診し、一緒にがんによる死亡率を減らしましょう。

2.大腸がん検診の現状

日本対がん協会が2017年度に全国の支部で行った大腸がん検診の結果では、受診者数は253万7352人、うち精密検査が必要と判定された人(要精検者)は15万4004人(要精検率6.07%)、この中で精密検査を実際に受診した人(精検受診者)は10万5826人(精検受診率68.7%)。この検診を通してがんを発見された人の数は4400人、その割合は0.17%でした。

大腸がん二次検診を受ける必要のある人、がんが見つかる人の割合

大腸がん検診を1万人が受診すると、607人が「要精密検査」と判定され、精密検査(二次検診)を受けるように勧められます。精密検査を受けた人は417人でした。そして、417人の中から17人に大腸がんが発見されたという割合になります。

大腸がん検診は大腸がんを見つけるためのものですが、それ以外にも大腸ポリープ(良性腫瘍)を発見して治療に結びつけることができます。

3.科学的根拠に基づいた大腸がん検診の方法

国の指針は大腸がんの一次検診の方法として、便潜血検査を勧めています。「便潜血検査化学法」と「便潜血検査免疫法」は「有効性評価に基づく大腸がん検診ガイドライン」(2005年)で、「一定の集団の大腸がんによる死亡率を減少させる」という大腸がん検診の目的に合致すると科学的に証明され、実施(特に免疫法)を勧められています。

実施体制別大腸がん検診の推奨レベル

最終更新日:2022年10月5日