日本対がん協会

肺がん検診について

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肺がんは、日本人のがんによる死亡数のトップを続けています。
しかし、症状の出ないうちに検診を受診し、早期のうちに治療すれば約8割が治るようになりました。

肺がん検診について

肺がん検診の基本情報

対象者 40歳以上
受診間隔 年に1回
主な検診内容
  • 質問、肺X線検査、喀痰細胞診
  • 喀痰細胞診の対象者は、50歳以上で喫煙指数(1日の喫煙本数×喫煙年数)が600以上の人。
検診を受けられる
場所と問合せ先
  • 地方自治体(都道府県、市町村、特別区)
  • 保健所(ホームページ、電話)※対がん協会の支部でも検診を行っているところがあります
検査結果 検査結果は、検査後10日~1ヶ月ほどで主に文書で通知されます

肺がん検診の具体的な流れ

肺がんの一次検診では、国の指針によりますと、「肺X線検査」、喀痰細胞診です。喀痰細胞診は50歳以上で喫煙指数(1日の喫煙本数×喫煙年数)が600以上の人が対象です。

「肺X線検査」とハイリスクな人に対する「肺X線検査と喀痰細胞診の併用」は「有効性評価に基づく肺がん検診ガイドライン」(2006年)で、「対象とする集団の肺がんによる死亡率を減少させる」という肺がん検診の目的に合致すると科学的に証明され、「実施することをすすめる」と判定されています。
「低線量CT」も用いられていますが、死亡率減少効果の有無を判断する証拠が不十分と判定されています。

一般的な肺がん検診の内容
  • 質問:現在の病状、既往歴、家族歴、過去の検診の受診状況等
  • 肺X線検査、及びハイリスクな人に対する肺X線検査と喀痰細胞診の併用

肺がん検診の意義と目的

肺がん検診の意義と目的

肺がんは早期発見し治療すれば約8割が治るようになりました

肺がんの一次検診では、問診と肺X線検査、またタバコを多く吸うハイリスクの人に対する肺X線検査と喀痰細胞診の併用、およびハイリスクでない人への肺X線検査だけが科学的に有効であると証明された方法です。

肺がんの予後(治療の経過具合)はあまりよくありませんでしたが、治療技術が進歩し、早期のうちに発見して治療すれば約8割が治るようになりました。無症状のうちに検診を受診した人では、早期の肺がんが発見される可能性が高いことが知られています。

肺がんの臨床病期別5年相対生存率
  臨床病期 全症例 手術症例 病期判明率 追跡率
生存率 85.6% 52.7% 27.2% 7.3% 22,588 10,797 98.9% 98.1%

※【5年相対生存率】 がんと診断された場合に、治療でどのくらい命を助けられるかを示しています。がんと診断された人のうち5年後に生存している人の割合が、一般の日本人の5年後の生存率と比べてどのくらいなのかをパーセントで表しています。

出典:全がん協加盟施設の生存率共同調査
全がん協部位別臨床病期別5年相対生存率(2011-2013年診断症例)

上表にあるように、がんが発見できても臨床病期(進展度、ステージ)が進んでいる状態で見つかった場合は、それだけ5年生存率が下がってしまいます。そのためにも、早期がんのうちに発見して治療することが重要になります。

肺がん検診の現状

肺がん二次検診を受ける必要のある人、がんが見つかる人の割合

日本対がん協会が2017年に全国の支部で行った肺がん検診の結果では、受診者数は328万3805人、うち精密検査が必要と判定された人(要精検者)は6万5645人(要精検率2.00%)、この中で精密検査を実際に受診した人(精検受診者)は5万1549人(精検受診率78.53%)。この検診を通してがんを発見された人の数は1619人、その割合は0.05%でした。

肺がん検診を1万人が受診すると、200人が「要精密検査」と判定され、精密検査(二次検診)を受けるように勧められます。精密検査を受けた人は157人でした。そして、157人の中から5人に肺がんが発見されたという割合になります。

科学的根拠に基づいた肺がん検診の方法

国の指針では、肺がんの一次検診は一般的に「肺X線検査」、50歳以上で喫煙指数(1日の喫煙本数×喫煙年数)が600以上、もしくは40歳以上で6ヵ月以内に血痰のあったハイリスクの人には「肺X線検査と喀痰細胞診の併用」が勧められ、そして「低線量CT」などが行われています。

しかし、「有効性評価に基づく肺がん検診ガイドライン」(2006年)では、「対象とする集団の肺がんによる死亡率を減少させる」という肺がん検診の目的に合致すると科学的に証明され、「実施することをすすめる」と判定されたのは「肺X線検査」とハイリスクな人に対する「肺X線検査と喀痰細胞診の併用」だけです。

検診体制 対策型検診 任意型検診
具体例 健康増進事業による集団検診
個別検診 職域検診
人間ドック 総合検診
概要 対象集団全体の死亡率を下げる 個人の死亡リスクを下げる
対象 集団 個人
スクリーニング法 推奨
非高危険部に対する胸部X線検査、及び非高危険部に対する胸部X線検査と喀痰細胞診の併用
低線量CT ×

最終更新日:2025年5月15日

肺がん検診についてのよくある質問

肺がん検診の問診とは

最近の身体の調子や病気に関する質問があります。
現在の体の具合やこれまでにかかった病気のこと
家族にがんになった人がいるかどうか
これまで検診を受けたことがあるかどうか、受けていた場合どんな判定や診断があったのか

肺X線検査、ハイリスクの人には肺X線検査と喀痰細胞診の併用とは

肺X線検査

X線で肺全体を撮影します。
X線を当てながら1枚から多くて2枚撮影し、その写真を2人以上の医師で読影します。必要に応じて、受診者の過去のX線写真と比較して変化を見る「比較読影」をすることもあります。X線検査は肺野部のがん(主に腺がん)を見つけるのに適しています。X線検査に加え、ハイリスクの人には喀痰細胞診も行います。
現在50歳であれば、1日にタバコを2箱(20本入りの場合)、15年間吸っている人も、同じタバコを毎日1箱でも、30年吸っていても喫煙指数が600ですので、喀痰細胞診の対象となります。

【 ハイリスクの人の定義 】

「50歳以上で喫煙指数(1日の喫煙本数×喫煙年数)が600以上」

喀痰細胞診(カクタンサイボウシン)

喀痰細胞診は、3日分の痰を1つの容器にまとめて(蓄痰法)、もしくは3つの容器に1日分ずつ別々に入れた(連痰法)検体を提出してもらい、顕微鏡で調べる検査です。これは気管支などの肺門部にできたがん細胞の一部が、痰にまぎれて出てくるものを調べるための検査です。肺門部にできるがん(主に扁平上皮がん)は喀痰細胞診で見つけやすいといわれています。

肺X線検査と喀痰細胞診のメリット

死亡率減少効果を示す相応な証拠があります。
針を刺したり、薬を使用しないので、比較的身体には負担がかかりません。
検査の感度(がんがある人を正しく診断できる精度)は70%前後といわれています。

肺X線検査と喀痰細胞診のデメリット

X線による放射線の被曝(ひばく)がありますので、事前に十分な説明がなされる必要があるとされています。ただ、直接撮影と間接撮影で多少の差はありますが、自然のなかで浴びる放射線と同程度なので、健康に重大な影響を及ぼすことはありません。

低線量CTとは

放射線が少ない低線量CT

CTという検査機器で、ベッドの上に乗せた身体を少しずつ移動させながら、X線の線源の入っている輪を通します。肺をぐるりと囲むようにして連続でX線撮影するため、出来上がった画像は、まるで肺の中を輪切りにしたようにな画像を映し出すことができます。
精密検査や臨床現場でCTを撮るときよりも出力を抑えているため、放射線が少ないので「低線量CT」と呼ばれます。
死亡率減少効果の有無を判断する証拠が不十分なため、対策型検診として実施することはすすめられていません。任意型検診として実施する場合には、効果が不明であることと不利益について適切に説明がなされる必要があるとされています。

低線量CTのメリット

造影剤などは使用せず、食事制限などもないという点では、身体への負担は比較的軽微といえます。
肺X線検査と比べ、多方面からのより精細な肺全体の画像が得られます。

低線量CTのデメリット

死亡率減少効果の有無を判断する証拠が不十分なため、対策型検診として実施することはすすめられていません。
X線による放射線の被曝(ひばく)がありますので、事前に十分な説明がなされる必要があるとされています。低線量といっても、胸部X線単純撮影よりは大きな放射線を浴びることになります。
結果的に、必要のない検査や治療を受けることになる「過剰診断」になってしまうこともあります。

最終更新日:2025年5月15日