ジャパンキャンサー
サバイバーズデイ2023
~つながり支え合う~
イベントレポート

2023年6月4日(日)、日本対がん協会の主催で、がん患者・家族が必要な支援を受けられるように情報を提供するイベント「ジャパンキャンサーサバイバーズデイ(JCSD)2023」が、国立がん研究センター築地キャンパス(東京都中央区)にて開催されました。医師やがん体験者による講演、トークセッションに加え、約30の支援団体・企業が会場にブースを出展。ハイブリッド開催となった今年の来場者は389名。オンライン配信の視聴者数は486名にのぼりました。


ここでは、大盛況のうちに幕を閉じたJCSD2023当日の様子を振り返ります。当日参加できなかった方は、各講演のアーカイブ動画もぜひご覧ください。

目次

  1. 開会挨拶:日本対がん協会 会長 垣添忠生
  2. 講演1「支えられる勇気、支える心がまえ ~ がん患者にとっての3種類のソーシャルサポート~」
  3. 講演2「地域にあったがん治療・寄り添いのありかた」
  4. アドボケート活動助成の実行団体より活動報告
  5. 講演3+トークセッション:「お互いさま」の関係を考える
    1. 講演「支え“る/られる”を変えていく」
    2. 講演「依存と自立、ふたつの支え」
    3. トークセッション:「お互いさま」の関係を考える
  6. 大盛況!つながりの場としてのブース出展
  7. 「ありがとうポスト企画」メッセージ集
  8. JCSD2023 参加者からの感想(アンケート結果)
  9. イベントの開催報告
  1. 1. 開会挨拶:日本対がん協会 会長 垣添忠生
  2. 日本対がん協会会長 垣添忠生(写真)の開会挨拶で幕を開けたJCSD2023。「がん患者は孤立無援の状態ではなく、実際にはさまざまな支援の手があります。国民の2人に1人が生涯でがんになる時代。がんは普通の病気という認識が広まり、いろんな人を認める多様性社会の実現を夢見て協会は行動しています。本日が充実した日になることを願います」と挨拶しました。

  3. 2. 講演1「支えられる勇気、支える心がまえ ~ がん患者にとっての3種類のソーシャルサポート~」
  4. 講演1では、「支えらえる勇気、支える心がまえ ~ がん患者にとっての3種類のソーシャルサポート~」と題し、保坂サイオンコロジー・クリニック院長の保坂隆医師(写真)が、がん患者と家族ら支える人たちの関係をどう持つべきかについて語りました。

    ソーシャルサポートは人とのつながりの中から得られる支援のこと。「この有無が病気の回復や予後に影響する」と保坂氏。情緒的(安心や癒しなど)、手段的(車での送迎、買い物など)、情報的(正しい情報の提供など)という3つのソーシャルサポートを挙げ、家族や友人、主治医などを例に説明しました。


    また、患者と家族の関係では、遠慮や戸惑いなどから会話が減ることがある。それを回避するためにも、患者本人は「支えられる勇気」が必要、家族は「支える心がまえ」が大切であると、具体的な例とともに説明しました。

  5. 3. 講演2「地域にあったがん治療・寄り添いのありかた」
  6. 講演2では、 NPO法人いきいき和歌山がんサポート理事長の谷野裕一医師(写真)が、「地域にあったがん治療・寄り添いのありかた」について語りました。

    NPO設立後、ピアサポーター育成や、がん在宅診療のため、病院スタッフ、在宅スタッフの合同勉強会などに取り組んできた谷野氏。がんになっても生き生きと暮らせるようになるために、地域の課題として、専門医の不足などによる専門性の確保、治療の選択肢と情報の提供、認定看護師や専門看護師の不足で治療やケアについて患者とともに方針を決める共有意思決定の難しさを指摘しました。


    そのうえで、オンライン会議システムで補える部分もあるとして自身の経験を具体的に紹介。オンラインを使えば、専門医不足も補えるのではないかと語りました。

    満席となった会場。みなさま熱心に耳を傾けていらっしゃいました。

  7. 4. アドボケート活動助成の実行団体より活動報告
  8. 日本対がん協会は、がんサバイバーや家族の支援を目的にした事業計画に対し、資金を助成する「がんアドボケート活動助成」を実施しました。JCSD2023では、2022年度に助成を受けた7団体から報告がありました。

    がんと運動(一般社団法人がんと働く応援団/ゆる²トレ実行委員会/ ReViv)

    がんサバイバーを対象に、就労支援を行う「一般社団法人がんと働く応援団」の吉田ゆりさん(写真左)、体力づくりをサポートする「ゆる²トレ実行員会」の石野田神さん(写真中央)、旅行やアクティビティを企画する「ReViv(リバイブ)」の相澤美穂子さん(写真右)らが協働して取り組んだ「ゆる²トレプロジェクト」より、活動報告がありました。

    地域のがんママを支える(がんを経験した女性のコミュニティColorfulRibbons)

    がんを経験した女性のコミュニティColorful Ribbons(カラフルリボン)が取り組んだのは、「地域のがんママを支える」という事業。子育て中の乳がん患者らが気軽に相談できる地域密着型の居場所を提供しようと、西東京市で3月にプレ開催した「がんママのためのカフェ」について、代表の高倉理恵さん(写真)から活動報告と今後の展望についてお話しがありました。

    リンパ浮腫と就労(リンパ浮腫ネットワークジャパン“リンネット”)

    がん治療後の難治性、進行性の後遺症であるリンパ腺障害に悩む人たちの支援と治療環境改善の実現を目指す「リンパ浮腫ネットワークジャパン(リンネット)」代表の岩澤玉青さん(写真)は、「リンパ浮腫と就労」をテーマにしたシンポジウムの開催報告と今後の取り組みについてお話しされました。

    AYA世代に寄り添う(AYA GENERATION+group)

    「AYA GENERATION+group」代表、桜林芙美さん(写真)が登壇。
    AYA世代(15~39歳)と小児がん経験者、40歳以上の「プラス世代」が抱える課題や関心事をテーマにしたオンラインイベント「AYAまつり」を今年も開催し、130人が参加したと活動報告がありました。

    図書館でがん教育(がん哲学外来シャチホコ記念)

    最後は、「がん哲学外来メディカルカフェ シャチホコ記念」の彦田かな子さん(写真)による活動報告。


    活動内容を紹介する冊子を作成し、全国各地の図書館へ配布。同様の取り組みは地元の愛知県や長野県などへ広がっており、利用者のアンケートの結果から図書館でのがん教育の必要性を実感したと語りました。

  9. 5-1. 「お互いさま」の関係を考える 講演「支え“る/られる”を変えていく」
  10. JCSD2023最後のパートは、「『お互いさま』の関係を考える」をテーマとした、がん体験者の講演とトークセッション。はじめに、2012年に希少がん(GIST)を発症した谷島雄一郎さん(写真)が、「支え“る/られる”を変えていく」と題し、講演を行いました。(こちらの動画は2024年7月末までの限定公開です。)

    治療中の2015年に「がん経験を新しい価値に変えて社会に活かす」をテーマにしたプロジェクト「ダカラコソクリエイト」を立ち上げた谷島さん。ポジティブな言葉も相手には逆効果の場合もあることから、つらい状況でもホッとできるようなLINEスタンプなどを作成しました。周囲との関係では、患者本人が必要なことをきちんと伝え、支える側は居場所をなくさないようにすることが大切だと話しました。

  11. 5-2. 「お互いさま」の関係を考える 講演「依存と自立、ふたつの支え」
  12. 続いて、緩和ケア医の大橋洋平医師(写真)が「依存と自立、ふたつの支え」とのテーマで講演を行いました。

    2018年にGISTが見つかり手術を受けた大橋医師。抗がん剤治療を続けながら仕事に復帰し、自身の体験をYouTubeで発信しています。講演では、患者本人は医療者に頼り(依存)、できることはする(自立)という二つのことができるよう、周囲の人たちが支えることが大事だと話しました。

  13. 5-3. 「お互いさま」の関係を考える トークセッション:「お互いさま」の関係を考える
  14. トークセッションでは、日本対がん協会で無料電話相談を担当する北見知美マネジャーが進行役になり、意見交換しました。患者の相談相手について、「支える側も人それぞれ。その時の悩み、感情によって変えることも大切では」と語る谷島さん。支える側の心構えについて、大橋さんは「患者として、無理なこと、頼りたいことは頼らせてもらう。そう言える関係が築かれると生きやすくなる」と話しました。

    (※動画内表記に誤りがありました。「がん相談室」は正しくは「相談支援室」です)

  15. 6. 大盛況!つながりの場としてのブース出展(スライドショー)
  16. 会場には、日本各地で精力的にがん患者・家族支援を行っている約30の支援団体や企業がブースを出展しました。様々な支援情報やがん治療にともなう生活の工夫などを共有し、参加者と出展者の出会いの場、出展者同士のつながりの場となりました。

  17. 7. 「ありがとうポスト企画」メッセージ集
  18. JCSD2023では「がん治療を支えてくれたあの人に伝えたかった感謝の気持ち、伝えそびれたありがとうの一言、今だから素直になれる思いを、会場やWEBのポストに投函し、がん治療中の仲間たちとシェアしませんか?」という「ありがとうポスト」を企画実施しました。


    身近な方へ、医療関係者へ。寄せられたメッセージの一部を、がんサバイバー・クラブ公式サイトに掲載しました。ぜひご覧ください!

    「ありがとう」
    メッセージを見る
  19. 8. JCSD2023 参加者からの感想(アンケート結果)
  20. イベントへの会場参加とオンライン参加、合わせて198名の方から感想をいただきました。感想アンケート報告は以下のボタンからご覧いただけます。

    参加者の感想を見る
  21. 9. イベントの開催報告
  22. 開催報告書を以下のボタンからご覧いただけます。

    開催報告書を見る





ブース出展団体一覧(順不同)






情報提供(ポスター・チラシ設置)協力団体一覧(順不同)