ジャパンキャンサー
サバイバーズデイ2025

がんと共に生きる
―転移・再発した私の
「わたしらしく」を考える―

イベントレポート

2025年6月1日(日)、がん患者・家族へ治療や療養生活に関する支援情報を提供するイベント「ジャパン キャンサー サバイバーズ デイ(JCSD)2025」が東京・築地の国立がん研究センター研究棟で開催されました。8回目の今年はテーマを「がんと共に生きる~転移・再発した私の『わたしらしく』を考える」とし、心や身体にさまざまな変化が起こり得る中で「わたしらしく生きる」ことについて4人の専門家の講演や、10の支援団体・企業ブースを通して考えました。参加型の企画や写真展などに加え、個別の相談をしやすい会場レイアウトとし、参加者がご自身のペースで正しい情報につながるようにしました。アンケートでは、 初参加と答えた方が7割を超えておりました。

ここでは、盛況のうちに幕を閉じたJCSD2025を振り返ります。当日参加できなかった方は、各公演のアーカイブ動画もぜひご覧ください。

目次

  1. 開会挨拶:日本対がん協会 会長 垣添忠生
  2. 講演1: 転移・再発したあなたへ~根治がむずかしいがんとの付き合い方~ 髙橋 都 先生
  3. 講演2: ゲノム医療による治療法を考える~転移・再発の場合を含む~ 安藤 弥生 先生
  4. 活動報告:「がんアドボケート活動助成」報告会
  5. 講演3:わたしを支える社会資源 北見 知美
  6. 講演4:がんと共に「わたしらしく」生きるを考える 秋山 正子 さん
  7. ブース出展(スライドショー)
  8. 写真展「私の見つけた『半径500メートル』」(協力:がんフォト*がんストーリー)
  9. ほっとひといき掲示板
  10. がん相談ホットラインに届く声
  11. 資料コーナー&ガイドライン閲覧コーナー
  12. 来場者からの感想(アンケート結果)
  13. イベント開催報告
  1. 1. 開会挨拶:日本対がん協会 会長 垣添忠生
  2. 「近年の5年生存率は70%近くに上がり、がんは治る病気になってきました。『再発・転移』をテーマにできたのはがん医療が急速に進歩し、困難でも希望を抱けるようになったからです。きょうは私も勉強させていただきます」と挨拶しました。

  3. 2. 【講演1】転移・再発したあなたへ~根治がむずかしいがんとの付き合い方~ 髙橋 都 先生
  4. 講演1では、転移・再発したあなたへ~根治がむずかしいがんとの付き合い方~と題しNPO法人日本がんサバイバーシップネットワーク代表理事の髙橋都先生が、がんの再発で夫を亡くした体験談を交えながら、どう病気と向き合うのかを考えました。

    髙橋先生は、「がんの転移・再発後も生活は続く。不安を抱える中、患者や家族の心の安定やケアが大切になる。また、個々の患者、がん種によって対応は異なり、正解はない。置かれた状況の中で必要な情報は何かを考える。治療の選択肢や疑問は主治医に聞き、がん相談支援センターなどを活用したり、周囲の意見を聞いたりする。ネットの情報を調べる際は信頼できるものなのか、見極める必要がある」と助言しました。


  5. 3. 【講演2】ゲノム医療による治療法を考える~転移・再発の場合を含む~ 安藤 弥生 先生
  6. ゲノム医療の進歩により、転移・再発後も個々の患者に合う治療が選べるようになってきました。【講演2】では、国立がん研究センター中央病院臨床研究支援室の安藤弥生先生が「ゲノム医療による治療法を考える~転移・再発の場合を含む~」と題し、ゲノム医療の基礎や新たな治療法の開発など国内の状況について解説しました。


    がん細胞の遺伝子情報を調べるパネル検査は現在、全国約300の医療施設で受けられます。標準治療を終えた患者さんの新たな治療法を探すための検査ですが、治療につながるケースは少なく新たな治療法や薬剤の開発、承認など国内での整備が必要です。そのための臨床試験や治験が行われています。

  7. 4. 「がんアドボケート活動助成」報告会
  8. 日本対がん協会では、がん患者、家族の支援活動に対して助成を行っています。
    2024年度に「がんアドボケ―ト活動助成事業」の助成を受けた一般社団法人がんと働く応援団▽がんを経験した女性のコミュニティ Colorful Ribbons▽みんなで知ろうがんのこと栃木実行委員会▽「がん患者のための もしもに備えるノート」制作プロジェクト▽一般社団法人LINKOSの5団体が、活動報告をおこないました。


    報告の中で、助成活動の様子や、参加者のアンケート結果、制作物の発表、活動に伴った地域行政との関係構築などの成果報告が行われ、さらには日本対がん協会と年間を通して行った合同勉強会への評価も語られました。

  9. 5. 【講演3】わたしを支える社会資源 北見 知美
  10. 日本対がん協会相談支援室の北見知美マネジャーは「わたしを支える社会資源」とのテーマで、無料電話相談「がん相談ホットライン」への相談をもとに、身体だけでなく、生活や仕事、お金など、さまざまな不安や心配を減らす方法として、日ごろから利用できる「社会資源」について解説しました。


    病状や治療方針は担当医に聞くが、医療機関や自治体、民間の支援団体の窓口への相談、家族や信頼できる友人とのコミュニケーションで自分の考えや気持ちを整理したり、必要な情報を集めたりすることができる。一人で抱え込まずに周囲を頼ってほしいと促しました。また、会場内のパネル展示では「がん相談ホットライン」の利用状況などが紹介されました。

  11. 6. 【講演4】がんと共に「わたしらしく」生きるを考える 秋山 正子 さん
  12. 最後は、認定NPO法人マギーズ東京共同代表理事でセンター長の秋山正子さんが「がんと共に『わたしらしく』生きるを考える」と題して講演しました。東京都江東区に開設されたマギーズキャンサーケアリングセンターを訪れるがん患者のエピソードなどを交えながら、わたしらしく生きることについて考えました。


    秋山さんは「○○らしく」という言葉は一人一人が持っている文化、物語を大切にすることと指摘。そのうえで将来の病気などに備え、在宅医療も含めて日常生活や医療、家族とのコミュニケーションなどを考えるALP(アドバンス・ライフ・プランニング)が大切であり、そのために早い段階から相談窓口へつなげる必要があると説明しました。主体は患者本人であり、本人の想いや主張を尊重すること、医師や看護師、薬剤師、ケアマネージャー、訪問診療医など支え合っていくチームをつくることが大事だとしました。


    今年は、おひとりでの参加が多くみられました。
    50代の方の参加者が多い一方で、20代の若い世代の方達の参加もありました。

  13. 7. ブースは大きなスペースで
  14. 今年は、参加者おひとりおひとりがゆっくりとブースで過ごすことができるように、余裕を持った配置としました。各ブースでは情報の提供や、参加者のご相談をお受けすることも可能で、じっくりとお話しされている方も何人もいらっしゃいました。

  15. 8. 写真展「私の見つけた『半径500メートル』」(協力:がんフォト*がんストーリー)
  16. がんサバイバー・クラブのコラムでもおなじみ、木口マリさん編纂の作品集「私の見つけた「半径500メートル」」よりサバイバー、医療者等から提供された写真とメッセージを展示しました。


  17. 9. ほっとひといき掲示板
  18. 患者さんやご家族が質問などを書き込み、会場を訪れた人たちが回答を投稿して情報交換をする「ほっとひといき掲示板」。副作用への対応に関しての相談に対して、同じ悩みを持つ方からの共感の声や、医療者からの対処策、また実際の経験者の声などが寄せられました。

  19. 10. がん相談ホットラインに届く声
  20. 日本対がん協会が行う患者・家族支援の一つ「がん相談ホットライン」の活動をパネル展示しました。がんになると、治療や副作用のことだけではなく、お金や仕事のこと、人間関係のことなど、様々な不安や心配事が出てきます。日本対がん協会が運営する無料電話相談「がん相談ホットライン」に届く声を、パネル展示でご紹介しました。

    詳しくはこちらをご覧ください。


  21. 11. 資料コーナー&ガイドライン閲覧コーナー
  22. 資料コーナーには患者会や支援団体の資料などが並び、開場時より大いに賑わいました。また、金原出版株式会社のご協力により、患者さんやご家族向けのガイドラインを自由に閲覧できるコーナーも設置しました。

  23. 12. 来場者からの感想(アンケート結果)回収率
  24. 「満足度」は87%、「参加してみて行動や気持ちの変化があった」という回答は95%となりました。

     

    「今後の治療について悩んでいる時で、本当に一番知りたいテーマの講演でした。ありがとうございました。 」という感想もありました。

     

    アンケート結果の詳細は、以下のボタンからご覧いただけます。

    アンケート結果を見る

  25. 13. イベント開催報告
  26. 開催報告書は、以下のボタンからご覧いただけます。

    開催報告書を見る






ブース出展団体一覧(順不同)






情報提供(ポスター・チラシ設置)協力団体一覧(順不同)

がん患者会・支援団体



企業

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