2019年01月19日

お知らせ

「健康増進法施行令の一部を改正する政令(案)」等に関する意見を提出

日本対がん協会は平成30(2018)年9月に「タバコゼロ宣言」を公表し、すべての国民をタバコの害から守りタバコのない世代を育成するため、全国の支部・グループが一丸となって取り組んでいるところです(https://bit.ly/2R2XZl9)。平成30(2018)年7月25日に公布された「健康増進法の一部を改正する法律」は一部の規定を除き平成32(2020)年4月1日に施行されますが、これに伴い、「健康増進法施行令」等の改正が予定され、先般、厚生労働省によりパブリックコメントが募集されました(https://bit.ly/2GFLFre)。

当協会は、以下のような意見を提出いたしましたので、ご報告いたします。
 
 

 日本対がん協会は1958年に創設されたがん征圧のための民間団体で、2018年に「タバコゼロ宣言」を公表し、喫煙者、受動喫煙、喫煙開始、タバコ産業との利害関係、新型タバコ、をいずれもゼロとすることを目標とした。すべての国民をタバコの害から守りタバコのない世代を育成するため、全国の支部・グループが一丸となって取り組んでいる。
 
1.健康増進法の目的は「国民の健康の増進の総合的な推進に関し基本的な事項を定めるとともに、 国民の健康の増進を図るための措置を講じ、国民保健の向上を図る」ことである。改正健康増進法は「望まない受動喫煙をなくす」という不可思議な観点に立ち、専ら他者から受ける健康被害である受動喫煙に「望む」や「受け入れ可能な」状況を前提とし、この観点からは、あらゆる人々をタバコの害から守ることはできない。すべての施設で「禁煙」もしくは「原則禁煙」と称しながら喫煙所を設置できるので、健康増進法の目的に程遠く、タバコとの距離による「健康格差」を助長する。喫煙に対するDenormalization(非常態化)しようとしている世界の潮流に完全に逆行し、将来に禍根を残す。
 
2.1)政令案(特定施設):未成年者、患者、妊婦が主たる利用者の施設とあるが、これらは飲食店も含む公共施設の利用者でもある。受動喫煙被害を防ぐために利用制限をすることは現実的ではなく、特定施設以外の施設も区別なく一律の規制(禁煙)とすべき。  2)政令案(喫煙目的施設):バー・スナックではタバコの対面販売と飲食営業により、従業員も利用客も喫煙と受動喫煙が最も濃厚な空間となり、禁煙化が難しい業態が益々劣悪な条件下に置かれ、健康被害を防げず増悪させてしまう。 3)省令案(特定屋外喫煙場所、喫煙専用室、喫煙可能室、喫煙目的室):いかに厳しい技術的基準を設けても健康被害を生じない水準まで煙をなくせず、上下階の分煙が有効という根拠もない。WHO等が否定している方策を法律と巨額の補助金により固定化することは、タバコ産業に利するだけで国費の無駄遣いである。 4)指定たばこ(加熱式たばこ):他人への健康被害のおそれが明らかでないとあるが、ニコチン等の有害物質や発がん物質が排出されるため予防原則に基づき、FCTCに従い従来製品と同様に規制すべき。現行案では非喫煙者や未成年、患者、妊婦等への曝露も防げず、加熱式たばこの流行を助長する。
 
 

平成31(2019)年1月19日 公益財団法人日本対がん協会