2014年09月03日

お知らせ

◆朝日がん大賞・日本対がん協会賞の受賞者決まる

公益財団法人日本対がん協会が、がん征圧活動に功績のあった方々にお贈りしています「朝日がん大賞」と「日本対がん協会賞(個人、団体)」の今年度の受賞者が1日付で決まりました。各賞とも9月5日に福岡市で開催します「がん征圧全国大会」で表彰します。

【朝日がん大賞】

科学的な臨床試験の普及によるがん対策推進への貢献

大橋 靖雄氏(おおはし・やすお) 60歳
中央大学理工学部人間総合理工学科教授(生物統計学)

科学的に計画された臨床試験の重要性を早くから訴え、試験の質を支える独立した統計センターの設置とデータマネジメントを実践。我が国を代表する臨床試験組織である日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)のデータセンター設立や日本臨床試験研究会(現学会)の設立などを主導した。
また術後補助化学療法に関する一連のNSAS研究や胃がんのACT-GCなどの臨床試験を統計専門家として指導したほか、我が国初のがん検診に関する大規模無作為化比較試験であるJ-STARTなど、がん検診研究にも統計・データ管理責任者として貢献している。
東京大学に我が国初の生物統計学講座を設立し、生物統計専門家の育成にあたった。
欧米の後塵を拝するとされる臨床試験の質向上に長年にわたって尽力されている功績を讃え、朝日がん大賞を贈るものである。

【日本対がん協会賞 個人の部】4人

小越 和栄氏(おごし・かずえい) 79歳 新潟県立がんセンター新潟病院参与

35年の長きにわたり、新潟県立がんセンター新潟病院に勤務し消化器内視鏡を中心にがん診療に従事。特に逆行性膵胆管造影(ERCP)の開発と普及に努めた。1991年には新潟県地域がん登録を設立し、98年からはがん予防総合センター長として、内視鏡検診や2次精検、研修、がん予防などに積極的にかかわり、新潟県のがん予防対策に貢献した。

郡 大裕氏(こおり・よしひろ) 77歳  元京都府医師会消化器がん検診委員会委員長

早くから慢性胃炎の病理・病態の研究に従事し、ヘリコバクター・ピロリ研究の第一線で長く活動してきた。2003年に京都府医師会胃がん検診委員会(04年から消化器がん検診委員会)委員長に就任した後は2次検診の精度管理に関する統一審査基準を定めたほか、積極的に研修を開催して精度管理向上に尽力した。

本間 清和氏(ほんま・きよかず) 66歳  ほんま内科胃腸科医院院長(山形県)

山形県酒田市立酒田病院などを経て1985年に開業した後も、やまがた健康推進機構庄内検診センター長を歴任し、がん検診に尽力した。低い受診率の向上を目指し、検診の申し込みを電話から全戸配布の郵送回収方式に変更するよう提案し、受診率の20%から35%へのアップに貢献した。国の政策に先駆けて胃がん・大腸がん検診無料クーポン券の導入実現につなげた。

安田 恒人氏(やすだ・つねと) 85歳  元宮城県医師会長

1994年に宮城県医師会長に就任すると同時に、郡市医師会・市町村・宮城県対がん協会の「三位一体」のがん検診体系基盤を固め、検診受診率を全国トップクラスに押し上げた。地域医療との連携によるがん集団検診の精度管理向上に貢献したほか、宮城県新生物レジストリー委員会会長としてがん登録のデータ収集システム推進に貢献した。

【日本対がん協会賞 団体の部】1団体

愛知県がんセンター(木下平=きのした・たいら=総長)
県立としては初めて病院と研究所を併せ持つがん専門施設として1964年に設立された同センターは今年50周年を迎える。その特色をいかし、疫学・公衆衛生の研究で数々の実績をあげ、全国に最新のがん予防情報を発信してきた。がん登録にも貢献しているほか、愛知県内20カ所の地域がん診療連携拠点病院との連携を通じ、地域がん医療の向上を牽引している。

(順不同、敬称略、年齢は9月1日現在)


 日本対がん協会賞と朝日がん大賞

日本対がん協会賞は、長年にわたり、がん征圧活動に尽力され、功績を挙げられた方々を顕彰するため、1968年に設けた。
朝日がん大賞は、日本対がん協会賞の特別賞として朝日新聞社の協力で2001年に創設した。

  1. ① 将来期待できる予防法や研究を手がけている個人や団体
  2. ② 検診法や検診機器の分野で画期的な開発をしたり挑戦したりしている個人や団体
  3. ③ 患者・治療者の活動で実績を残し、今後も活動が期待できる個人や団体――などを対象としている。