2021年11月18日

お知らせ

2020年のがん診断件数 早期が減少 進行期の増加を懸念 日本対がん協会とがん関連3学会が初の全国調査

公益財団法人日本対がん協会は、がん診療への新型コロナの影響を把握するため、がん関連3学会(日本癌学会、日本癌治療学会、日本臨床腫瘍学会)の「新型コロナウイルス(COVID-19)対策ワーキンググループ(WG)」と国内486施設を対象に、5つのがん(胃、大腸、肺、乳、子宮頸)の診断数などのアンケートを実施。回答を得た105施設では、2020年のがん診断件数は8万660件で、2019年の8万8,814件より8,154件(9.2%)少なく、治療数(外科的・鏡視下的)も減ったことがわかりました。おおむね早期が減る一方、進行期は両年で差が少ない傾向となり、がん種によっては2020年の方が多いケースもありました。今後、進行がんの発見が増えることが心配されます。
 
アンケートは今年7~8月、全がん協会加盟施設、がん診療連携拠点病院、がん診療病院、大学病院など486施設に診断数、臨床病気(1~4期、がん種によって0期も含む)、手術数、内視鏡治療数などを聞きました。大規模調査は全国初で、北海道東北、関東、中部北陸、近畿、中国四国、九州沖縄の各地域の計105施設から回答を得ました。(回答率21.6%)
2020年は新型コロナの感染拡大により、がん検診をはじめ、各種検診が一時中断されたことに加え、受診控えや通院控え、県境をまたぐ移動の自粛などで検診受診者、通院者が減り、結果的に診断数も減ったようです。5がん別の診断数の減少幅は、胃がんが13.4%と最大で、大腸がん10.2%、乳がん8.2%、肺がん6.4%、子宮頸がん4.8%でした。
 

2019年と2020年のがん診断数の比較


がんに罹患する人の割合は2019年、2020年でほぼ変わらないと考えられるため、2019年と同じように検診や通院ができていれば発見できたがんが約9%あったと推測されます。がん診断の減少は早期が顕著なため、進行期の発見の増加が心配されます。さらに治療や予後の悪化、将来的にはがん死亡率の増加するおそれもあります。
 
今後も、科学的根拠に基づくがん検診の受診勧奨を強め、検診・通院控えの方たちの受診につなげることが重要です。そのためには、ワクチン接種などによるコロナ対策の充実を図るとともに、がん対策も迅速拡充することが欠かせません。日本対がん協会も検診会場でのコロナ対策を進め、検診受診率向上に努めます。
 

進行期別がん診断数の比較

胃がん


 

大腸がん


 

肺がん


 

乳がん


 

子宮頸がん

最終更新日:2021年11月18日