朝日がん大賞・日本対がん協会賞

「朝日がん大賞」は日本対がん協会賞の特別賞として、朝日新聞社の協力で2001年に創設されました。対象分野は、日本対がん協会の活動の柱である「がん予防」全般とし、がん征圧に向けて優れた実績をあげて社会に貢献し、かつ、第一線で活躍している個人・団体を顕彰します。将来性のある研究の発掘、医療機器類の研究・開発、患者・治癒者の活動やケアなどの分野も対象としています。
 
「日本対がん協会賞」は対がん活動に顕著な功績のあった個人及び団体を顕彰して、がん征圧運動の一層の高揚を図ることを目的としています。
 


朝日がん大賞

 
2020(令和2)年度の受賞団体
 

「中小企業におけるがん治療と仕事の両立の推進に貢献」

株式会社松下産業(東京都文京区、松下和正社長)
 
オフィスビルやマンションの建築、リニューアル工事、土木工事などを手がける、1959年創業の総合建設会社。従業員数238人の中小企業だが、がん治療と仕事の両立、社員のがん検診受診などに積極的に取り組んでいる。社員の採用、教育からファイナンシャルプラン、年金まで「ひとに関すること」をワンストップで取り扱う専門の部署「ヒューマンリソースセンター」を設け、がんと診断された社員には同センター担当者が出向いて各種制度を説明したり、心のケアをしたりするなど支援に乗り出す。働けなくなった社員の収入の一部を補填する団体長期障害所得補償保険(GLTD)にも会社として加入した。過去10年間、健康診断でがんが見つかり、就労継続した社員は14人。がん治療と仕事の両立を支えようとする大企業の活動は知られているが、日本の企業の約7割を占める中小企業での活動は強いメッセージ性がある。この企業姿勢および、これらの取り組みによるがん征圧運動と社会への貢献をたたえるものである。
 
「朝日がん大賞」 過去の受賞者
 


日本対がん協会賞

 
2020(令和2)年度の受賞者・受賞団体(4個人、2団体)
 
◇ 個人の部 ◇
 
石川 清司(いしかわ・きよし)71歳 国立病院機構沖縄病院名誉院長
岡山大医学部卒。臨床研究後の1977年、極端な医師不足、医療過疎の苦境にあった郷里・沖縄に戻り、特に肺がんの診断・治療に取り組んだ。国立療養所沖縄病院(現・国立病院機構沖縄病院)では13年間、院長を務め、胸腔鏡下手術の導入、放射線治療施設や外来化学療法室の整備、セカンドオピニオン外来・緩和ケア病棟の開設に尽力した。県成人病検診管理指導協議会肺がん部会長として肺がん検診の精度管理、受診率向上にも努めた。
 
富田 弘志(とみた・ひろし)68歳 長崎県健康事業団医局長兼健診部長
1988年に同事業団が肺がん検診を開始するにあたり、呼吸器内科の専門医として長崎大医学部第二内科から派遣されて入職。30年以上にわたって読影システムの構築、精度管理に貢献した。離島の数が全国で最も多い長崎県では、がん検診の推進には検診車による巡回が不可欠となっている。県の保健所により実施されていた離島での肺がん検診が困難になった際は代替策として事業団での実施を実現し、離島での肺がん検診体制の維持に貢献した。
 
長谷  章(はせ・あきら)65歳 長谷内科医院(神奈川県藤沢市)院長
2003年から11年間、神奈川県の藤沢市医師会で禁煙運動推進委員長を務め、公共の場や県内の法人タクシーの全面禁煙を働きかけて実現した。全国初となった神奈川県の公共的施設での受動喫煙防止条例の実現にも尽力した。学校や病院、各種団体から町内会に至るまで幅広く禁煙に関する講演を行うほか、医家向けの禁煙指導マニュアルの作成を多数手がけ、禁煙外来の開設支援にも力を入れている。
 
藤田 博正(ふじた・ひろまさ)69歳 北海道対がん協会細胞診センター前所長
2003年に同協会細胞診センター所長に着任。細胞検査士の育成、液状化細胞診の導入など携わり、子宮頸がん検診の受診率向上、精度管理に尽力した。細胞診とHPV-DNA検査の併用、自己採取HPV検査の活用など、広大な北海道で有効な子宮頸がん検診を実施していくための研究を精力的に進めたほか、全道各地に出向いて子宮頸がんに関する講演を続け、特に若い世代に向けた啓発に取り組んだ。
*年齢は2020年9月1日現在
 
◇ 団体の部 ◇
 
群馬県がん患者団体連絡協議会(大島ちかよし会長)
2007年に発足。行政や医療機関への提言、がんの早期発見と早期治療を訴えるキャンペーンの展開、交流茶話会の開催などに取り組んでいる。同県では2010年に議員発議で県がん対策推進条例が制定されたが、同会は患者、家族、支援者それぞれの立場からの要望書を取りまとめて陳情し、条例実現の原動力となった。2013年に始まったチャリティイベント「リレー・フォー・ライフ・ジャパン・ぐんま」の運営でも中心的な役割を果たしている。
 
ブラザーチームジャパン(ブラザーグループの有志)
がん患者や家族を支援する世界的なチャリティイベント「リレー・フォー・ライフ」に早くから関心を持ち、海外拠点では米国で1999年から、ニュージーランドで2006年から継続的に参加している。国内では本社のある名古屋市に近い愛知県岡崎市で同県初開催となった2010年から参加を続けている。多数の有志が参加する過程で、がんやがん検診についての啓発が自発的に行われ、社内の健康診断受診率は97%に達してがん征圧に寄与している。
 
日本対がん協会賞 過去の受賞者(個人)
日本対がん協会賞 過去の受賞者(団体)
 

選考委員会 (2020年度)

委員長  垣添 忠生 日本対がん協会会長
副委員長 武藤徹一郎 がん研有明病院  メディカル・ディレクター・名誉院長
     大内 憲明 東北大学大学院医学系研究科客員教授・東北大学名誉教授
     中川 俊男 日本医師会長
     津金昌一郎 国立がん研究センター社会と健康研究センターセンター長
     後藤 尚雄 日本対がん協会理事長
     石田  勲 朝日新聞社 科学医療部長