朝日がん大賞・日本対がん協会賞

日本対がん協会賞は、対がん運動に功績のあった個人および団体に贈るもので、がん征圧全国大会で表彰しています。
創立10周年の昭和43年(1968年)から始まり、検診の指導やシステム開発、第一線の検診・診断活動、がん予防知識の普及や啓発活動などに地道な努力を重ねた方々や、団体が対象になっています。個人は毎年2人から数人、団体は1ないし複数団体が選ばれています。
朝日がん大賞は、将来性のある研究や活動等を対象に贈るもので、平成13年(2001年)度から朝日新聞社の協力を得て創設しました。日本対がん協会賞の特別賞として、副賞100万円が贈られます。

<平成30年度の受賞者>

【朝日がん大賞】

樋野 興夫(ひの・おきお)  64歳

順天堂大学医学部病理・腫瘍学教授

「『がん哲学外来』の提唱など、医療現場と患者の隙間を埋める活動に貢献」

 医療者ががん患者と対話しながら、患者のがんにまつわる悩みを解消する「がん哲学外来」を提唱し、2008年に順天堂大学順天堂医院内で試行した。以来、既存の「がん相談」や「セカンドオピニオン相談」とは異なり、喫茶店などでお茶を飲みながら、がんについて患者と語り合う「がん哲学外来」の活動が定着。さらに医師、看護師らの医療従事者や市民が自主的に集う「がん哲学外来メディカルカフェ」としても全国に広がり、多くのがん患者や家族、周囲の人に、生きる意味や希望を与え続けている。11年には「がん哲学外来」の活動に賛同した市民らで「がん哲学市民学会」が設立され、「がん哲学外来コーディネーター」養成講座も始まった。18年までに80人のコーディネーターが養成され、メディカルカフェも全国150カ所以上で開催されるまでになった。医療現場と患者、家族の隙間を埋める場を作り、患者・家族が尊厳を持って生きる社会の実現に貢献した功績を高く讃えるものである

【日本対がん協会賞・個人】

石渡 勇(いしわた・いさむ) 72歳

石渡産婦人科病院院長

 1978年から40年にわたり、茨城県総合健診協会の細胞診断医として、子宮頸がんの細胞診断に従事し、茨城県の子宮頸がんの早期発見に尽力した。子宮頸がん検診の精度管理の充実を図った茨城県子宮がん検診マニュアルの改訂版を発行するなど、常に子宮がん検診の問題点や課題を提議し、子宮がん検診従事者への教育研修にも力を注ぎ、茨城県の子宮がん検診の精度向上や検診の普及啓発に貢献した。

 

河西 十九三(かさい・とくぞう) 74歳

ちば県民保健予防財団総合健診センター顧問

 子宮頸がん細胞診専門医として、1972年から千葉県内での子宮頸がん検診の推進や精度管理の充実向上に尽力した。2012年からは、細胞診とHPV-DNA検査の併用による検診の効果を明らかにするため、財団のモデル事業として県内5市町村で併用検診を実施し、併用検診の検討を行った。子宮頸がん検診での液状化細胞診の導入を積極的に行い、千葉県内の子宮頸がん検診の推進、精度管理向上に大きく貢献した。

 

清水 秀昭(しみず・ひであき) 68歳

栃木県立がんセンター名誉理事長

 がん患者・家族に対する、がんに関する情報提供を充実させるため、栃木県のがん情報をまとめた「がん療養冊子」の作成と活用に関する事業を指揮し、現在、全国で普及・活用されている各都道府県版のがん療養冊子のモデルとなった。栃木県立がんセンターの理事長として、県内のがん医療の質の均てん化のため、「がん診療連携拠点病院における診療体制の質評価」に取り組むなど、栃木県のがん対策の推進に大きく貢献した。

 

谷山 清己(たにやま・きよみ) 64歳

国立病院機構呉医療センター・中国がんセンター院長

 病理医が病理診断の内容を患者や家族と面談して説明する「病理外来」を1996年から呉共済病院で始め、以降、現在まで乳がん患者を中心にした病理外来を年間70~100件続けている。病理外来には、患者が病理診断の内容を詳しく、正しく理解することで、治療の必要性を正しく理解して治療に積極的になる効果や、カウンセリング効果があることを見出すなど、病理外来の普及啓発に貢献した。

 

西井 研治(にしい・けんじ) 63歳

岡山県健康づくり財団附属病院長

 1985年に岡山県健康づくり財団附属病院の前身である結核予防会岡山診療所に勤務以来、2002年に附属病院院長に就任して現在に至るまで、呼吸器内科の専門医として肺がんの早期発見・早期治療や慢性閉塞性肺疾患(COPD)の対応に力を注いできた。1990年から禁煙相談と禁煙外来を開設し、岡山県禁煙問題協議会会長やタバコフリー岡山副会長として、喫煙による健康被害をなくす普及啓発にも取り組むなど、肺がんの予防に大きく貢献した。

 

長谷川 英之(はせがわ・ひでゆき) 81歳

神奈川県結核予防会・中央健康相談所名誉所長

 藤沢市民病院呼吸器内科在職中に、藤沢市内科医会が主催する胸部疾患研究会で、肺がんの読影を指導。1991年に始まった藤沢市の肺がん個別検診の導入に中心的な役割を果たし、藤沢市と平塚市を対象とした肺がん個別検診の症例対照研究で、肺がんの死亡率減少の効果を示すことができた。さらに、2008年には神奈川県生活習慣病検診管理指導協議会肺がん分科会会長に就任し、神奈川県全体の肺がん検診の精度管理向上に貢献した。

 

【日本対がん協会賞・団体】

がん哲学外来メディカルカフェどあらっこ

(中村航大=なかむら・こうだい=代表)

 代表の中村さんは、小学校2年生の時に脳腫瘍を発症。中学2年生の時に樋野興夫・順天堂大学教授が提唱した「がん哲学外来」の活動に共感し、2017年に中学のクラス仲間ら3人と名古屋市で「がん哲学外来メディカルカフェどあらっこ」を立ち上げた。定期的にメディカルカフェを開き、がんについて語り合っている。現在、高校1年生となった4人が中心になって、自身の経験を同世代の子どもや、その親世代に伝え、悩みを語る場への参加を呼びかけており、がんへの教育・啓発の面からも高く評価された。

<朝日がん大賞 過去の受賞者>

過去の受賞者リスト

<日本対がん協会賞 過去の受賞者>

過去の受賞者リスト(個人)
過去の受賞者リスト(団体)

【選考委員会】(2018年度)

委 員 長:垣添 忠生・日本対がん協会会長
副委員長:武藤徹一郎・がん研有明病院メディカルディレクター・名誉院長
委  員:横倉義武・日本医師会長
委  員:大内憲明・東北大学名誉教授、登米市病院事業管理者
委  員:津金昌一郎・国立がん研究センター社会と健康研究センター センター長
委  員:石田勲・朝日新聞社科学医療部長
委  員:後藤尚雄・日本対がん協会理事長