組織の概要

日本対がん協会について

日本対がん協会は1958年(昭和33年)8月、がんの早期発見や早期治療、生活習慣の改善によって、「がん撲滅」を目指そうという趣旨で設立されました。その前年の日本癌学会総会での提唱がきっかけとなり、朝日新聞社が創立80周年記念事業として支援し、設立の運びになったものです。その後もさまざまな団体、企業、個人の草の根の支援が、協会の活動を全面的に支えています。

設立当時、がんによる死者は今の4分の1の年間8万8000人ほどでした。国立がんセンターができる4年前で、国が本格的ながん対策に乗り出す「夜明け前」の時代でした。
残念ながら、その後、がんによる死者は増え続け、1981(昭和56)年、わが国の死因第1位となり、2016年まで36年連続で死因のトップになっています。16年のがん死者は37万2986人に達し、3人に1人ががんで亡くなる時代になっています。

日本対がん協会は、がんを早期発見、早期治療するため、15年までの累計では、全国の日本対がん協会グループの検診団体で延べ3億6000万人以上の方にがん検診を実施し、41万879のがんを見つけ、早期発見・早期治療によるがん死の防止に努めています。

また、がん予防にはがん検診だけでなく生活習慣の改善がきわめて重要です。タバコは肺がんだけでなく多くのがんの誘因や原因とされています。協会は「禁煙の勧め」など、がん予防の啓発活動にも力を入れ、「がん征圧」に向けて大きな成果を上げています。
参照 集団検診の受診者・がん発見数

協会の組織と活動の概要
日本対がん協会は、東京を除く46道府県に「日本対がん協会グループ」を構成する提携団体を持ち、全国でがん征圧運動を展開しています。

日本対がん協会グループを構成する提携団体の基本はがん検診事業です。中でも市町村の委託を受けた集団検診(住民検診)が大きな柱になっています。全体では全国で約1000台の検診車を持ち、近くに検診施設のない地域にも検診車が出かけ、広い地域でがん検診を支えています。

日本対がん協会では、検診は行っていませんが、国立がん研究センターや財団法人・癌研究会、癌研有明病院など、がん関係機関と緊密な連携を保ちながら活動をしています。その活動は、がんの知識普及・啓発と、がん患者・家族の支援事業が大きな柱になっています。専門医による「がん無料面接相談」を開くほか、がん専門医による事前予約制の電話相談、専門看護師や社会福祉士による無料電話相談「がんホットライン」を実施しています。

また、9月をがん征圧月間と決め、とくに活動を強めるほか、がん征圧全国大会を開き、がん征圧活動の推進を誓っています。毎年、がん検診やがん予防に地道な活動や研究をした人や団体に贈られる日本対がん協会賞、朝日がん大賞の授賞式も、全国大会で行われます。

さらに、一般市民向けの発表会や、がんに関する啓発冊子も発行しています。

乳がん啓発の代名詞となった「ピンクリボン」活動にも力を入れています。2003年から朝日新聞社と一緒にピンクリボン月間の10月にピンクリボンフェスティバルを開催しています。各地でスマイルウオークやシンポジウム、セミナーなどを実施して乳がん検診の受診を呼びかけています。

がん征圧・患者支援を目的としたチャリティ活動「リレー・フォー・ライフ(RFL)」にも力を入れています。RFLのイベントはアメリカで1985年にスタートし、日本では2006年の茨城県つくば市においてプレ開催、2007年には兵庫県芦屋市と東京・お台場で本格的に実施されました。2017年には約49ヶ所でイベントを開催し、活動の大きな広がりを見せています。

さらに2009年からは小中高生へのがん教育にも着手し、全国の学校でがん教育のモデル授業を開いたり、がん教育の別教材を作成したりしています。

また、2017年にはがん患者を孤立させないために、「がんサバイバー・クラブ」を立ち上げ、ウェブサイト上で患者会イベント、がん関連注目ニュースなど、がん関連の情報の提供やサバイバーの就労支援相談、患者支援セミナーなどを展開しています。

こうした幅広い「がん征圧」活動は、さまざまな企業、団体、個人からの寄付に支えられています。