2023年02月27日(月) 開催

講演資料

企業が取り組むウェルビーイング経営と禁煙推進~企業の先進事例から見るがん予防につながる禁煙の取り組み~

講演:

企業が取り組むウェルビーイング経営と禁煙推進
~企業の先進事例から見るがん予防につながる禁煙の取り組み~

米田 哲郎 氏

禁煙推進企業コンソーシアム事務局長

米田 哲郎 氏

1978年生まれ。株式会社電通でヘルスケア関連の新規事業支援などに携わった後、独立。企業の健康経営やヘルスケア関連事業立ち上げのコンサルティングに携わる。
日本対がん協会や東京都医師会などの団体・企業が集まって2019年4月に結成した禁煙推進企業コンソーシアムにも参画し、現在、事務局長を務める。株式会社シー・ピー・ユー代表取締役社長。

1978年生まれ。株式会社電通でヘルスケア関連の新規事業支援などに携わった後、独立。企業の健康経営やヘルスケア関連事業立ち上げのコンサルティングに携わる。
日本対がん協会や東京都医師会などの団体・企業が集まって2019年4月に結成した禁煙推進企業コンソーシアムにも参画し、現在、事務局長を務める。株式会社シー・ピー・ユー代表取締役社長。

パネルトーク:

ベストプラクティスから考える企業の禁煙推進

圓尾 奈緒美 氏

ロート製薬株式会社人事総務部 健康経営推進グループリーダー

圓尾 奈緒美 氏

2004年入社。プロダクトマーケティング部で目薬、内服医薬品や健康食品など消費者のヘルスケアニーズにこたえる商品企画の業務を経て、2021年から現職。社員一人一人が自らの健康を考えて行動変容を起こし、ウェルビーイングを実現できることを目指して、社内の制度の構築・施策運営などに携わっている。

2004年入社。プロダクトマーケティング部で目薬、内服医薬品や健康食品など消費者のヘルスケアニーズにこたえる商品企画の業務を経て、2021年から現職。社員一人一人が自らの健康を考えて行動変容を起こし、ウェルビーイングを実現できることを目指して、社内の制度の構築・施策運営などに携わっている。

セミナーレポート①「企業が取り組むウェルビーイング経営と禁煙推進」

公益財団法人日本対がん協会は2023年2月27日、第1回がんリテセミナー「企業が取り組むウェルビーイング経営と禁煙推進~企業の先進事例から見るがん予防につながる禁煙の取り組み~」をオンラインで開催。企業のウェルビーイング経営とがん予防となる禁煙の推進について考えた。

企業の健康経営やヘルスケア関連事業のコンサルティングに携わり、日本対がん協会や東京医師会などの団体・企業が参加する禁煙推進企業コンソーシアムの事務局長を務める米田哲郎氏が講演。ロート製薬株式会社人事総務部健康経営推進グループリーダーの圓尾(まるお)奈緒美氏が成功事例を紹介した。また、「ベストプラクティスから考える企業の禁煙推進」とのテーマで米田氏、圓尾氏とともに日本対がん協会の石田一郎常務理事が進行役となり、パネルトークもおこなった。

意見交換をする(左から)米田哲郎氏、圓尾奈緒美氏、石田一郎常務理事

米田氏は、禁煙にチャレンジする人を成功させる禁煙外来のような医学的アプローチではなく、組織としてマーケティングの考え方を採り入れて人材へアプローチし、禁煙にチャレンジする人を組織内でどう増やしていくかという観点から話をした。

「チャレンジ」「応援」「感謝し合う」・・・禁煙風土3つのカギ

組織で禁煙を進める際、課題として①反対する声、②喫煙岩盤層の問題、③制度設計のタイミングの3つがある。喫煙者と非喫煙者の心理的な対立構造(ギャップ)があることを指摘。一方的に禁煙を押し付けるのではなく、喫煙者のことを知り、非喫煙者の理解を得ることが重要だと説明した。

また、米田氏は禁煙風土を醸成する背景として、チャレンジする風土、応援する風土、感謝し合う風土の3つを挙げ、禁煙推進は喫煙率を下げるだけでなく、良好な企業風土づくりにつながると説明し、上司や経営層を巻き込みながら少しずつ進めることになるため、会社の理想像を考え、そこへ一歩ずつ向かってほしいと話した。

喫煙者の99.9%が卒煙・・・個別アプローチが効果的

圓尾氏は、組織の風土づくりに成功したロート製薬の事例を紹介した。同社は半世紀にわたって社員の健康維持に取り組んでおり、禁煙については1996年に本社での分煙を始め、2005年に全社禁煙プロジェクトをスタートさせた。働きやすい環境を社員が提案するなどして喫煙率は28%から12%まで下がった。しかし、その後に停滞したため、2020年の全社員卒煙を掲げて2018年から新たな取り組みを始めた。喫煙者の社員を選抜し、3カ月間禁煙できれば、応援した社員も含めご褒美がもらえる「卒煙ダービー」などを職場で実施し、全社へ広げていくことで2020年4月には喫煙者の99.9%が卒煙となった。

米田氏は、ロート製薬の事例も踏まえ、「喫煙者の中で禁煙する意向がある人を把握してアプローチすることが大切だ」とアドバイスした。また、禁煙推進では会社全体に一律に案内するのではなく、取り組みやすい部署や協力者を得られやすい部署から個別にアプローチしたり、キャリアやライフステージのタイミングに合わせて健康情報に関心のある層へ声掛けたりすることが効果的だと説明。そのうえで、禁煙推進のコミュニケーションは影響力がある人や協力してくれる人をいかに巻き込むかがポイントになると話した。
(日本対がん協会機関紙「対がん協会報」2023年3月1日号から)