2024年02月22日(木) 開催

「離職を防ぐ! 明日からできるがん治療と仕事の両立支援」

講話1:

産業医が伝えたい、社員が辞めない企業がしている両立支援の工夫

武藤 剛 氏

総合内科専門医、産業衛生専門医、北里大学医学部衛生学 講師

武藤 剛 氏

内科学、産業衛生学、環境社会疫学が専門。国立がん研究センター客員研究員(兼任)として、がん治療と仕事の両立支援の推進にむけた実装研究に取組んできた。米国ハーバード大学でリサーチフェロー(研究員)として国内外のシステムを調査し、帰国後、千葉大学予防医学センター特任助教、2018年より現職。総合内科専門医・社会医学系指導医(産業衛生専門医)。

内科学、産業衛生学、環境社会疫学が専門。国立がん研究センター客員研究員(兼任)として、がん治療と仕事の両立支援の推進にむけた実装研究に取組んできた。米国ハーバード大学でリサーチフェロー(研究員)として国内外のシステムを調査し、帰国後、千葉大学予防医学センター特任助教、2018年より現職。総合内科専門医・社会医学系指導医(産業衛生専門医)。

講話2:

大事な社員に長く活躍してもらうために企業担当者が知っておくべきこと

廣田 純子 氏

国家検定1級キャリアコンサルティング技能士、一般社団法人がんと働く応援団理事

廣田 純子 氏

一般社団法人がんと働く応援団(通称GHO)は、がんという予期せぬライフイベントに直面した人が生活・就労を無理なく両立できる社会を目指し、がんに負けない組織と人を増やす為にがん経験者と各種専門家がタッグを組み治療と仕事の両立支援をしている非営利団体。「現役世代のがん防災マニュアル」などの開発提供をはじめ、人事・社員への研修を通じ職場における両立支援の推進を行っている。

一般社団法人がんと働く応援団(通称GHO)は、がんという予期せぬライフイベントに直面した人が生活・就労を無理なく両立できる社会を目指し、がんに負けない組織と人を増やす為にがん経験者と各種専門家がタッグを組み治療と仕事の両立支援をしている非営利団体。「現役世代のがん防災マニュアル」などの開発提供をはじめ、人事・社員への研修を通じ職場における両立支援の推進を行っている。

セミナーレポート⑤「離職を防ぐ! 明日からできるがん治療と仕事の両立支援」

日本対がん協会は2024年2月22日、働く世代のためのがんリテラシー向上プロジェクトの一環として、第5回「がんリテセミナー」を東京・築地の国立がん研究センターで開いた。一般社団法人がんと働く応援団の協力により「離職を防ぐ!明日からできるがん治療と仕事の両立支援」と題し、初めて対面形式で実施。企業・団体の人事関係者ら約40人が参加した。

対面形式の今回は、がん罹患を明かした社員に人事担当者はどう対応したらいいかをセミナー参加者が疑似体験するなどのグループワークも取り入れ、企業にとって喫緊の課題であるがん治療と仕事の両立支援について実践的に学ぶことを狙った。

参加者が「がんリテラシー診断」事前受講……正答率83%

冒頭、参加者が事前に回答した、がんに関する知識を問う「がんリテラシー診断」の結果が報告された。計30問で全体の正答率は83%。がん検診の受診時期や、20~30代女性に多いがんなどの問いに対し、「自覚症状があるときに受診」「大腸がん」などの誤答が目立った。(正解は「自覚症状がないとき」「乳がん」)

前半の講演では、北里大医学部講師で産業衛生専門医の武藤剛氏が「産業医が伝えたい、社員が辞めない企業がしている両立支援の工夫」と題し、病気の治療をしながら働ける職場は、どのような取り組みが必要なのかを解説。がんになっても働く人はますます増えると指摘し、メンタルサポートなど見えない部分の支援が必要だと述べた。

ますます増える働くがん患者……がんという病気を知り、制度を整えて備えを

また、がんと働く応援団理事で1級キャリアコンサルティング技能士の廣田純子氏はがんサバイバーとしての経験も踏まえ、「大事な社員に長く活躍してもらうために企業担当者が知っておくべきこと」と題して講演。社員からの相談を想定して事前にがんという病気について知り、支援制度を調べ、社内制度を整えるなど備えることが大切だとした。

後半は参加者が数グループに分かれ、大腸がんに罹患した社員と人事担当者が話し合うロールプレイに取り組んだ。各グループ内で参加者は社員役、人事担当者役となり、治療と就労の両立に向けての話し合いを疑似体験した。双方とも「これが正解」という対応方法はなく、参加者同士で意見を交換し、より良い対応方法を模索した。

(日本対がん協会機関紙「対がん協会報」2024年3月1日号から)