豊島区立千川中学校

2015.01.17

講師:佐瀬一洋先生

人数:1、2年生 36名

日本対がん協会は1月17日、豊島 区立千川中学校でがん教育の出前授業 を行った。
 豊島区の小・中学校ではほぼ毎月、 地域の方が授業を見学できる「としま 土曜公開授業」が開かれている。千川 中学校はこのとしま土曜公開授業で年 2回、課題別学習教室を行っている。 現代の社会問題を課題にした複数の授 業を用意し、生徒それぞれが関心のあ る講座を選択する仕組みだ。講師は外 部の専門家が務める。
 この日は1、2年生を対象に、日本 対がん協会による「がん」をはじめ、地 盤工学会による「地震」、豊島区役所清 掃環境部資源循環課による「ゴミ」など 7つの講座が開講された。
 豊島区はかねてがん対策に熱心で、 がん教育が受診率向上につながると考 え、平成24年から、小学6年生と中 学3年生の授業にがん教育を最低1時 限取り入れることにしている。ただ、 一部の保護者からはがんの話を聞きた くない子もいるとの声も聞かれたとい う。そこで千川中学校は、がん教育を この課題別学習教室に組み入れ、生徒 自身が選べるようにした。
 がんの講座には、36名の生徒が出 席した。講師は、順天堂大学大学院教 授で循環器専門医の佐瀬一洋先生。佐 瀬先生は自身も5年前に骨軟部肉腫と 診断され、手術と抗がん剤治療を終え ている。当時の驚きとショックから話 し始め、罹患率の性別、年齢別グラフ などを示しながら、「みんなも、がん が身近だとはあまり感じていないかも しれない。でもたとえば、ご両親はが んになる人が増えてくる年代かもしれ ないね」と語りかけた。
 日本人の2人に1人ががんになるこ と、3人に1人ががんで亡くなること を説明し、「今もがんと闘っている人 たちのケアもとても大事なこと」と力 を込めた。
 今回、生徒たちにできるだけ多く発 言する機会を与えようと、佐瀬先生は 随所に工夫を凝らした。中でも生徒た ちが一番盛り上がったのは、倍々ゲー ム。順々に生徒が指され、2×2= 4、4×2=8、8×2=16…と、前 の生徒が答えた数字の2倍の数を答 えていく。あっという間に答えは1 万、10万と大きな数字になっていく。 倍々ゲームをがん細胞の増殖の様子に 例えて、早期発見・早期診断が大切だ と話すと、生徒たちは真剣に聞き入っ ていた。
 佐瀬先生ががん教育の講師を務める のは4回目。訪れた学校の先生たちか らヒントを得て、こうした子どもとの コミュニケーション方法を考えた。ま た、どの学校でも中学生たちの感受性 の豊かさを実感したという。
 最後に「何よりも大切なのは、命や 生きているということ。命をつないで くれた家族や周りの人に、思いやりの 気持ちを持つこと。今日帰ったら、こ んな授業をしたよ、と家族と話すきっ かけにしてほしい」とメッセージを送 った。