岩手県立西和賀高校

2015.08.18

講師:佐瀬一洋先生

人数:全校生徒 106名

 岩手県立西和賀高校で8月18日、全校生徒106人に向けてがん教育のモデル授業が行われた。講師は日本対がん協会とともに精力的にがん教育の出張授業を行っている、順天堂大学大学院医学研究科の佐瀬一洋教授。佐瀬教授は10月の教職員対象の「岩手県学校保健講習会」でも講演する。
 西和賀町は県でも有数の豪雪地帯。前身の旧沢内村時代から「豪雪・貧困・多病多死」に苦しめられた歴史を持つが、1962年には全国で初めて乳児死亡率ゼロを達成した自治体として有名だ。
 県教育委員会指導主事兼保健体育主事の高橋雅恵さんは西和賀高校をモデル授業の場に選んだ理由に、やはり生命尊重の歴史を持つ地だからと話す。菅野慎一校長も以前病弱な子どもたちが通う学校に勤務したことがあり、小児がんの子どもたちの教育に携わった経験を持つ。そんな背景からモデル授業が実現した。
 西和賀高校ではモデル授業に先立ち、養護教諭の及川明奈先生が学年ごとにがんについて正しく理解するための事前指導を行った。がんの基礎知識を教え、グループ毎にがんについての疑問や質問を見つけてもらった。当日掲示された生徒たちの質問は、がんの仕組みから、どういう経過を辿るのか、がんになった時の気持ち、家族ががんになったらどういう風に支えてあげたら良いのかなど、多岐にわたり、その問題意識の高さに佐瀬教授も驚いていた。
 佐瀬教授の授業のポイントは、①がんが増えたのは長寿化の結果②予防と早期発見が大切③誤った意識は病気より怖い、正しい情報を、の3点。特に正しい情報の大切さについては、自身が骨軟部肉腫とわかった時の体験をもとに、映画やドラマの誤った情報に振り回されないようにと話し、子どもたちも真剣に聴き入っていた。