東京都東大和市立第五中学校

2016.09.27

講師:中川恵一先生

人数:3年生 80名

日本対がん協会は9月27日、東京都東大和市の東大和市立第五中学校でがん教育の出張授業を行った。
日本対がん協会が企画・制作し、中川恵一・東京大学医学部付属病院准教授が監修したがん教育の動画教材「よくわかる!がんの授業」が数日前に完成し、この日は中川准教授が講師となって3年生2クラス約80人の生徒に動画教材を初披露しながら、講義した。
「よくわかる!がんの授業」は、クイズ形式でがんについて楽しく学べるアニメ動画で、中川准教授がユーモアを交えた独自の解説を加えながら、がんの起きる仕組みや検診の大切さを解説するのを生徒も熱心に聞いていた。
日本対がん協会は、がん教育のアニメ動画としてこれまで「がんちゃんの冒険」と「がんって、なに?いのちを考える授業」を作成し、協会のサイトで教育機関への無償提供を呼びかけている。「よくわかる!がんの授業」は、その第3弾。
文部科学省は来年からがん教育を全国に広げる方針で、同省が4月に公表した「がん教育推進のための教材」の中で、がん教育で取り上げるべき9項目(①がんとはどのような病気でしょうか?②我が国におけるがんの現状③がんの経過と様々ながんの種類④がんの予防⑤がんの早期発見とがん検診⑥がんの治療法⑦がんの治療における緩和ケア⑧がん患者の「生活の質」⑨がん患者への理解と共生)を示している。
「よくわかる!がんの授業」は、教室で学ぶ生徒をキャラクターにして、先生が出すクイズに答えるやり取りや、先生の補足説明を通して、この9項目の内容を楽しく学べるようになっている。
9項目の内容は9話に分けられており、各話2~3問で計22問のクイズで構成されている。この日の授業では、アニメの中で生徒がクイズに答える前に、東大和市立第五中学の生徒も答えの案を声に出し合って回答を待つなど、好評だった。
中川准教授が各話のクイズの前後に独自のスライドを示すなどして補足解説したり、生徒に追加の質問をしたりして、約50分の授業で9項目を学び終えることができた。
「よくわかる!がんの授業」は、より多くの学校教育現場で活用してもらえるよう、最終調整のうえ、日本対がん協会のサイトで公開する予定。当日は保護者約10人、東大和市教育委員会の統括指導主事らが授業を見守った。

地域や外部の力を借りて子どもたちに成長してほしい
東大和市立第五中学校 山本武校長の話

昨年度に日本対がん協会の協力で実施した、歌手でがん経験者の松田陽子さんの講演に続き、がんについての出張授業を企画・実施した東大和市立第五中学校の山本武校長は「専門的な話を非常に丁寧に解説していただいたので、生徒たちも喜んでいると思います。アニメも親しみやすくて良かった」と生徒たちの反応を喜んだ。昨年も松田さんの講演の後で行った調べ学習のテーマにがんを選ぶ生徒が多く、がんの事をもっと知りたいという意欲を感じたという。「生徒たちにはがんに限らず『健康』にもっと関心を持ってほしいので、このような授業はとても大事だと思っている」と話す。
同校では出張授業の他にも、武蔵野美術大学の学生や教職員がさまざまなアート作品を校内に展示し、学校を美術館のように変えてしまう催し「ムサビる」など外部の力を借りるイベントや企画を積極的に行っている。その理由を「生徒たちに『君たちはいろんな大人に見守られているんだよ』という事を実感して欲しいからです。地域や外部の専門家やいろんな人の助けで大きくなるということをわかってもらい、いつか自分も社会にお返しができるような大人になって欲しいと思っています」と話した。