島根県江津市立青陵中学校

2014.07.15

講師:佐瀬一洋先生

人数:2年生 97名

 7月15日、海を見下ろす高台に位置する島根県江津市立青陵中学校で、「中学生と一緒に『がん』を学ぼう」という催しが行われた(主催:島根県健康推進課、島根県教育庁、後援:江津市教育委員会、協力:日本対がん協会)。講師は順天堂大学大学院教授で循環器専門医の佐瀬一洋先生。自身もがんを経験した佐瀬先生が中学2年生97人に向けて、がんについての授業を行った。
 がんは2人に1人がなる身近な病気で、日本人の死因の第1位であること。早期診断が重要であるにも関わらず日本のがん検診の受診率は先進国で最低であること。食習慣に気を付けたり、禁煙をしたりすることが大事であること。日頃から正しい情報や相談できる相手を大切にして、かけがえのない人生を精一杯生きようなどと盛りだくさんの内容を手作りのスライドを使いながら説明した。心臓の専門医である佐瀬先生が、こうした活動に取り組むようになったきっかけとして、自身のがん闘病の体験を語ると、子どもたちはぐっと乗り出してきた。
 4年半前に自身の身体にがんが見つかった時の動揺と悲しみ、医師であるがゆえに今後の予測がついてしまう苦しさ、そしてがんから復活したときに改めて感じたがん教育の大切さ、医療への感謝、研究への希望など体験者ならではの話に会場は聴き入った。
 佐瀬先生が力を込めて話した中に、がんのイメージの偏りということがある。がんを題材にした映画やドラマは決まって患者の死で終わるが、実際のがんはもう「不治の病」ではないとグラフを示しながら強調した。
 授業の直前と直後、そして3か月後の3回にわたってアンケートを行い、知識の定着と効果測定を行う計画だ。