山梨県教育委員会 がん教育研修会

2017.5.30

講師:佐瀬一洋先生

人数:養護、保健体育教員、保健主事ら約150人

山梨県で教員向けのがん教育研修会
――佐瀬一洋・順天堂大教授が講演

山梨県教育委員会は5月30日、県内の小・中・高・特別支援学校の養護、体育科教員、保健主事らを対象にしたがん教育研修会を山梨県総合教育センターで開催した。文部科学省が今年度からがん教育の全国展開を始めたのを受け、がん教育の必要性や進め方について教員の理解を深めようと開催された。日本対がん協会と各地でがん教育を実践している佐瀬一洋・順天堂大学大学院教授が「モデル授業から得られたがん教育への感謝と期待~医師として、患者として、子どもを持つ親として」と題して講演。約150人が参加した。
山梨県では小・中・高の各段階向けに、がん教育で利用できる独自のリーフレットを作成して全児童生徒に配布し、活用を図っている。研修会ではまず、山梨県の担当者がこうしたリーフレットの内容や、文部科学省が5月に、小学校、中学高校向けに作成した補助教材を文部科学省のサイトで公表したことなどを説明した。
これを受けて佐瀬教授は、悪性骨軟部肉腫という希少がんを患いながらも多くの人に助けられ、乗り切ってきた経験を踏まえ、教員ががん教育に取り組むにあたって「がんの知識についてハードルが高いと思うかもしれないが、心配せずに命の大切さを教えてほしい」と指摘。様々な困難に直面したときにどうしたらいいのかを考え、子どもたちの多様性を広げるためのツールとして、がん教育をとらえることをアドバイスしていた。
また、これまで実施してきた出張授業で強調してきたこととして①がんは身近な病気であり、不治の病でないこと②がんは予防と早期発見が有効であること③誤った情報は病気より怖く、正しい情報を得ること、の3点を挙げた。これらの中でいろいろなところにフォーカスをあてて、国立がん研究センターがん情報サービスなどの信頼できる情報を利用したり、文部科学省から公表された教材などをいろいろ組み合わせたりして授業を行うことを勧め、「まずは実践してみて下さい」と訴えていた。