2026年01月14日(水) 開催

講演資料

中小企業のがん対策~できることから実行しよう

齋藤 朋子

株式会社 松下産業 ヒューマンリソースセンター長

齋藤 朋子

1991年大学卒業後、大手総合商社入社。2007年株式会社松下産業入社、2013年ヒューマンリソースセンター立ち上げ、2016年センター長。同社は2020年に、中小企業におけるがん治療と仕事の両立の推進に貢献したことを評価され「朝日がん大賞」を受賞。
委員就任実績は、2022年厚生労働省「がん対策推進協議会」委員、2021年厚生労働省「女性の活躍推進及び両立支援に関する総合的情報提供検討委員会」委員、2020年日本対がん協会「休眠預金活用によるがん患者支援事業」選定委員。登壇実績は、2021~2023年東京都中小企業振興公社「メンタルヘルスリーダー養成講座」、2021年NHK福祉ビデオシリーズ「あなたにも知ってほしいがんのこと」、2021年ジャパンキャンサーフォーラム、2019年JILPT「労働政策フォーラム」、2019年日本臨床腫瘍学会学術集会、2018年日本産業カウンセリング学会「第23回(国際)大会」ラウンドテーブル、2017年東京労働局「雇用管理セミナー」、2017~2025年東京都中小建設業協会主催新入社員研修ほか。保有資格は、特定社会保険労務士、産業カウンセラー、国家資格キャリアコンサルタント、第一種衛生管理者、2級ファイナンシャルプランナー、宅建士、MBTI認定ユーザーほか。

1991年大学卒業後、大手総合商社入社。2007年株式会社松下産業入社、2013年ヒューマンリソースセンター立ち上げ、2016年センター長。同社は2020年に、中小企業におけるがん治療と仕事の両立の推進に貢献したことを評価され「朝日がん大賞」を受賞。
委員就任実績は、2022年厚生労働省「がん対策推進協議会」委員、2021年厚生労働省「女性の活躍推進及び両立支援に関する総合的情報提供検討委員会」委員、2020年日本対がん協会「休眠預金活用によるがん患者支援事業」選定委員。登壇実績は、2021~2023年東京都中小企業振興公社「メンタルヘルスリーダー養成講座」、2021年NHK福祉ビデオシリーズ「あなたにも知ってほしいがんのこと」、2021年ジャパンキャンサーフォーラム、2019年JILPT「労働政策フォーラム」、2019年日本臨床腫瘍学会学術集会、2018年日本産業カウンセリング学会「第23回(国際)大会」ラウンドテーブル、2017年東京労働局「雇用管理セミナー」、2017~2025年東京都中小建設業協会主催新入社員研修ほか。保有資格は、特定社会保険労務士、産業カウンセラー、国家資格キャリアコンサルタント、第一種衛生管理者、2級ファイナンシャルプランナー、宅建士、MBTI認定ユーザーほか。

セミナーレポート⑩「中小企業のがん対策~できることから実行しよう」

 働く世代のためのがんリテラシー向上プロジェクトの一環として、1月14日、第10回がんリテセミナー「中小企業のがん対策~できることから実行しよう~」をオンラインで開催し、企業の人事・総務担当者、経営者が参加した。がん対策に悩む中小企業に役立つ情報提供をめざし、株式会社松下産業ヒューマンリソースセンター長で特定社会保険労務士の齋藤朋子氏を招いた。講演に続く対談では、日本対がん協会の石田常務理事と中小企業ならではの課題と対策について話し合った。

中小企業も取り組めるがん対策のヒントを探る

 中小企業は日本の企業数の99.7%、雇用数の約7割を占める。がんの予防や早期発見だけでなく、がんになっても安心して働けるようにするには、どんな支援があるのか。
 講師は、総合建設会社「松下産業」ヒューマンリソースセンター(HRC)⾧、齋藤朋子氏。同社は2020年、中小企業におけるがん治療と仕事の両立の推進への貢献が評価されて、企業で初めて「朝日がん大賞」を受賞した。同社の社員約230人の8割は技術者で、工事現場で指揮をする。社員のさまざまな関心事・悩みにワンストップで対応するため、2013年にHRCが創設された。同社には元々、「明日はわが身」「お互い様」といった社員や家族を大事にする風土があり、それを形にしたのが取締役会直属のHCRだった。入社から退職までの間、結婚・子育て、がんなどの病気やメンタルヘルス、家族の介護、セカンドライフなどに関しての相談窓口として、社員一人ひとりを支えている。当初は若い社員の定着を図るためのメンタルケア、上司へのフィードバックが中心だったが、社内に浸透するとともに相談の内容も広がった。

 がんの治療と仕事の両立支援では、過去10年間に健康診断でがん発見後も働いた社員の半数以上がいまも働き続ける。がんに関する相談を受けた場合、本人から直接話を聴いて主治医や産業医、専門家との連携を図り、治療を支える家族のサポートも行う。社内制度や公的支援の周知、病気への理解促進を図るほか、日ごろから個人面談などを通じて社員の情報、ニーズを把握する。これらに取り組む中、家族の要望を受け、会社としてGLTD(団体長期障害所得補償保険)に加入し、病気やけがで働けなくなった場合、給与の4割を補償する制度を整えた。がん相談は個別性が高いため、まずは本人の話を聴くことから始める。本人の病状や治療計画、何が不安なのかを把握し、それに対して会社は何ができるのかを考える。専門外の相談に対しては外部の専門家につなぐことが大事であり、日本対がん協会の「がん相談ホットライン」を案内することも。セミナーの中で、がん相談ホットラインをはじめ、日本対がん協会の活動について石田常務理事が紹介した。

 質疑応答では、参加者からの「予算が少なくてもできる取り組みは?」「社員から率直に話してもらうには?」という質問に対し、齋藤氏が自社で実施した事例を示しつつ、病気になっても存在を脅かされることにならないという心理的安全性を会社が社員に担保する必要があると助言した。「メンタルも含めたがん対策で社員を支えることは、中小企業の採用が難しい中、実績につながる」と採用時の強みにもなり得ると述べ、同時に、既存の社員を大事にすることで人材流出を防げる、と指摘した。石田常務理事も「いまいる社員を大切にしてほしい。外部の社会資源の活用など、やれる所から始めることで企業経営のプラスになる」と提案した。

(左から)講師の齋藤朋子氏、協会常務理事 石田一郎

日本対がん協会機関紙「対がん協会報」2026年2月1日号から