群馬県立前橋女子高校

2014.10.29

講師:奥仲哲弥先生

人数:1年生 325名

 群馬県の前橋女子高等学校では、10月29日にがん教育の出張授業が行われた(主催:群馬県教育委員会、協力:日本対がん協会)。群馬県は文部科学省の平成26年度モデル事業「がんの教育総合支援事業」のモデル地域に採択され、伊勢崎市立第一中学校と県立前橋女子高等学校がモデル事業実施校に指定された。
 県はモデル事業を実施するために、研究者や医師会、患者団体、PTA、養護教諭、保健所関係者などからなる協議会と、指定校の教諭や市や県のがん対策部門、県教育委員会などで構成する検討委員会を設けて、モデル事業に取り組んできた。
 具体的には教職員対象のがんの教育についての研修、学校におけるがんの教育の実践、指導資料の作成、がんの教育に関する講師一覧表の作成などだ。今回の出張授業はそのモデル事業の一環として計画され、日本対がん協会が協力した。
 当日の講師は山王病院副院長で呼吸器センター長の奥仲哲弥先生。モデル校での実践は、川崎市の中原中学校に続き2回目だ。1年生325名全員が体育館に集まり、講演会形式で1時間の授業が行われた。
 奥仲先生はまず生徒たちにクイズを出しながら、手際良くがんの基礎知識を説明した。続いて専門である肺がんの診断と治療法について詳しく解説。特に手術に関しては、動画も見せながらいかに技術が進み、手術が低侵襲で身体の負担が少なくなっているかを、人気のテレビドラマの話題なども織り交ぜてわかりやすく解説した。
 昔は30センチ切らなければいけなかった手術が今は4センチで済むことや、出血はわずか20CC程度であることなどを話すと、生徒たちも俄然興味がわいた様子だった。手術の話の流れで、喫煙者の手術がいかに難しいかということから煙草の害にも触れた。
 最後に医師の仕事は皆が思っているよりずっときつい仕事だけど、ただ勉強ができるから医師を目指すのではなく、困っている患者を助けてあげたいと思う人こそが、ぜひ医療系に進んで下さいと熱いエールを送った。
 続いての質疑応答では、「遺伝子検査についてはどう思うか」とか「身内に子宮頸がんを患った人がいるが、再発率はどのくらいなのか」といった、かなり専門的な質問が寄せられた。最後に生徒代表が「がんについて誤解していた。家族や身内に今日の話をぜひ伝えたい」と挨拶した。
 その後、同校新聞部が奥仲先生にインタビュー。全校生徒や保護者への啓発につなげた。