千葉県立九十九里高校

2015.11.09

講師:奥仲哲弥先生

人数:3年生 143名

 11月9日、千葉県立九十九里高校でがん教育のモデル授業が開催された。今回の授業は保健講話としてがんの教育を計画していた千葉県東金市の山武健康福祉センターから相談を受けて、日本対がん協会が企画協力して実現した。
 講師は禁煙教育でも精力的に活動している山王病院副院長の奥仲哲弥先生。「十代からのがん予防 九十九里高校篇」と題して3年生全員の143人に向けて講演を行った。
 事前にアンケートをした結果、親など同居者に喫煙者が多く、たばこの害についての認識が低いことが分かったこともあり、講義では一般的ながん予防に加えてたばこの害についてもくわしく話した。
 奥仲先生はクイズ形式でがんの基礎知識や、治療の種類、がん治療のオーダーメード化が進んでいること、身体にやさしい抗がん剤も開発されつつあることなどをわかりやすく解説。専門である外科手術についても、低侵襲化が進んでおり、出血量もかつての800ccから今は50cc程度に減っていることを説明すると、生徒から驚きの声が聞かれた。手術動画を映した時の反応が一番大きかった。
 たばこの害については、奥仲先生の専門である肺がんの約半数の原因が喫煙であること、喫煙者の手術は肺が癒着していてカメラが入らないなど非常に手術が難しくなることなど、具体的な例を挙げての説明に生徒たちも聞き入っていた。加えて九十九里高校では卒業後就職する生徒が多いこともあり、喫煙者を採用しない企業が増えつつあることにも触れた。
講演の後に開かれた懇談会には、地元山武地域の教育委員や保健師、近隣高校の養護教諭や保健体育教諭、日本対がん協会グループ千葉県支部などが参加し、意見交換を行った。参加者からは「がんの予防教育はやりたいが、どうしたらよいかわからない。やはり専門家に話してもらうのが一番だと思った」「小学生ではたばこ教育を素直に聞くがすぐ忘れる。高校ぐらいでもう一度やった方が良い」などの感想や意見が出た。
 奥仲先生は「配慮の問題が良く言われるが子どもは強いし、テレビなどの過激な情報にさらされている。手術シーンは集中力を保つためにも長めに入れた」「以前、中学の文化祭で健康について調べ学習を発表した後のタイミングで講演をしたときは、とても反応が良かった」など色々な工夫や参考になる取り組みを紹介していた。
 当日の授業の模様は千葉テレビや千葉日報などで紹介された。