2020年3月1日

休眠預金を活用した「がん患者支援の助成事業」採択事業

休眠預金を活用した「がん患者支援の助成事業」採択事業(順不同/敬称略)

事業名 がん患者の性生活(セクシュアリティ)~心と体に及ぼす性的側面のサポート~
団体名(所在地) 認定NPO法人 キャンサーネットジャパン (東京都文京区)
代表者 理事長 岩瀬 哲
事業概要 国内で情報が乏しい性(セクシュアリティ)の問題を、がん患者(小児がん・成人を含むAYA世代)やそのパートナーに向けて、同法人が得意とするWEB・冊子・動画・セミナーを活用して専門家監修のもと広く情報発信する。また、性の問題は非常にセンシティブで個別性があり、対面相談のハードルが高いため、ツール内(スマートフォン向けアプリ・WEBを想定(事前アンケート等により選定))で専門家(婦人科医、泌尿器科医、看護師、セックスカウンセラー等)に相談出来る仕組みを構築する。コンテンツは、治療による性腺への影響や妊孕性温存、パートナーが知っておくべき情報の他に、一般的な性教育やがん患者の恋愛・結婚についての悩みなど、がん治療中の患者・治療を終えたサバイバーやそのパートナーに対して多岐にわたる情報をそろえる。
事業期間 3年間
事業助成額 直接事業費 17,229千円、管理的経費 2,771千円、評価費 877千円
審査・採択、フィードバックのポイント ・センシティブなテーマであり今まで見過ごされてきた。患者/パートナー当事者にとって情報ニーズ、専門家との相談ニーズは高い。
・アプリによって対面相談のハードルを乗り越える新しい試み。
・一方で、複雑な相談内容を文字等のアプリでどう答えフォローするか(相談の質とアプリの継続改良)、がん相談支援センター等地域の相談拠点との連携のあり方、海外の情報も取り入れも。

 

事業名 愛知県におけるがん患者の就労支援モデル構築事業~医療と労働の連携を重視した包括的な就労支援体制の創出~
団体名(所在地) 一般社団法人 仕事と治療の両立支援ネットーブリッジ (愛知県名古屋市)
代表者 代表理事 服部 文
事業概要 がんの治療による心身の変化に応じた働き方を実現するために必要な3つの機能を向上させる。(①患者自身による職業人生の再構築と環境へのかかわり、②企業が柔軟な働き方を包括する文化を持つこと、③医療機関内の就労支援ニーズの拾い上げと外部支援期間との連携)
現状において患者・企業・医療機関の三者が十分に機能するには情報が不足している。患者が持つ自分自身の心身の変化の情報、企業が持つ勤務情報、医療機関が持つ医療情報。支援者はこの3つの情報を安全で適切な共有化を図り、「がん患者の職業生活を継続する」という共通の目的が持てるネットワークを作る。治療プロセスの早期から医療機関内の個人面談や企業への調整支援を開始し、がん患者の個別性の高さ、企業の在り方の多様性を十分に理解した上で復職先の定着した働き方まで見据えた一連の支援を実施し、地域の両立支援モデルを構築する。
事業期間 3年間
事業助成額 直接事業費 8,920千円、管理的経費 1,080千円、評価費 440千円
審査・採択、フィードバックのポイント ・ボランティア主体の小規模組織ながらコンパクトで患者/医療/職場/行政の顔が相互に見える(実感出来る)地域特性を活かした事例作りに期待、地方での応用モデルになる可能性も。
・相談支援センターなど医療側からの主体的参画・協力を引き出していく為に両立支援に実績のある医師メンバーや外部専門家とのチームを構成し小さいながらも体制強化を工夫。今後運営に関わる内部スタッフの人作りを。

 

事業名 小児がん経験者の長期フォローアップ受診促進のための啓発活動
団体名(所在地) 公益財団法人 がんの子どもを守る会 (東京都台東区)
代表者 理事長 山下 公輔
事業概要 小児がんの治療成績の向上に伴い、治療を終える小児がん経験者が増える一方、治療後に起こる「晩期合併症」が課題になっている。晩期合併症は治療終了後、数十年も経過してから症状が現れることもあり、成人期の60 – 90%が何らかの晩期合併症を有するとも言われている。小児がん経験者の中には、自身の治療内容、晩期合併症のリスクを理解しておらず、症状が出た後に適切な治療を受けるまでに時間を要してしまうことがある。本事業では小児がん経験者が自身の治療内容、晩期合併症のリスクを理解し、自身での健康管理が可能となるよう啓発活動を行う。また、その必要性を訴えるだけでなくフォローアップロスになっている小児がん経験者を適切な医療機関と繋ぎ、現在の健康状態のチェックアップと共に、今後の健康管理についての方針を医療者から受けることまでをゴールとする。
事業期間 3年間
事業助成額 直接事業費15,218千円、管理的経費864千円、評価費 706千円
審査・採択、フィードバックのポイント ・支援対象者を小児がん経験者のフォローアップロスにフォーカスし、晩期合併症リスクの低減という治療後の長い人生スパンでのQOL向上に取り組む事業。
・実効性/継続性あるフォローアップロスの実態把握と具体的アプローチ手法確立に向けた、小児がん拠点病院など全国協力施設、小児・AYA世代がん患者OBや家族会などネットワーク構築に期待。

 

事業名 企業内がんコミュニティ育成による、治療と仕事の両立支援・ダイバーシティの推進
団体名(所在地) 一般社団法人 CSRプロジェクト (埼玉県越谷市)
代表者 代表理事 桜井なおみ
事業概要 企業内におけるピアサポーターを育成し、がんに罹患した社員の身近な相談先を確保するとともに、企業内における「がん」への理解促進、就労支援における医療機関への橋渡し役として、支援体制全体の質の向上などを目指す。また、ピアサポーターの育成、およびその体制づくりのためのマニュアルの作成など、一企業にとどまらず社会全体に広く浸透すべく事業を展開していく。特に人材面で困難が予想される中小・零細企業においては、オンラインでのコミュニティ支援・eラーニングによる支援を展開、また開催予定である合同ピアサポーター研修などへの参加により、がんサバイバーのネットワーク化を進めていく。
事業期間 3年間
事業助成額 直接事業費5,370千円、管理的経費930千円、評価費 276千円
審査・採択、フィードバックのポイント ・“企業内ピアサポート”とそのネットワーク化いうコンセプトでロールモデルの可視化/浸透を狙う。その先行企業(複数協力候補あり)の組織化「部活」から、合理的配慮に基づく支援体制を作る好事例となることを期待。
・大企業と立ち位置が異なる中小/零細企業(支援が行き届きにくい)の対象者がICTでいかに“コミュニティ支援”を実感出来るか、
アクセス性含め将来の横展開に繋がる事例に。

 

事業名 「つながろう!希少がん」~国内外、地域での希少がん(小児・AYAがん含む)患者家族と産官学ネットワーク強化による希少がん医療体制・治療開発・QOL向上推進事業~
団体名(所在地) 一般社団法人 日本希少がん患者会ネットワーク(東京都千代田区)
代表者 代表理事 眞島 喜幸
事業概要 希少がんの診療・受療の課題領域は、①診断法・治療法、②研究開発・臨床試験、③診療体制、にある。
本事業では5つのプロジェクトから、患者・家族・遺族がより正確かつ最新の情報をネットワークからたやすく得て、希少がんに関する相談支援、専門施設間連携による紹介が進むことで、専門医の質の向上、受療体制等の向上、結果生存率やQOLの向上に繋げていく。
・地方や患者を巻き込んだ希少がん患者サミット(ステークホールダーによる新情報/課題/解決策の共有)
・希少がんキャラバン(孤立し易い地域でゲノム医療など新しい治療情報やQOLの勉強会)
・希少がん患者家族意識調査(上記ネットワーク活用で経年変化の状況を定点観測)
・希少がん掲示板(希少がんの疾病について情報交換の場を創設)
・がん関連学会シンポジウム(患者・家族、医療関係者、行政)
事業期間 3年間
事業助成額 直接事業費12,750千円、管理的経費2,250千円、評価費659千円
審査・採択、フィードバックのポイント ・希少性であるが旨の支援/研究活動の継続性に危機感もある中でネットワーク、プラットフォームが出来ることはさまざまな分野への働きかけにもプラス。産官学や患者と家族への発信や巻き込みも組み込まれている。
・地方も視野にいれた地域格差解消も施策に反映。
・希少がん関連団体(17組織3,200名)の人的資産を活用した推進、海外知見の取り込みも。

 

事業名 がん患者の就労移行と中小企業の両立支援推進事業
団体名(所在地) NPO法人 日本キャリア開発協会 (東京都中央区)
代表者 理事長 大原 良夫
事業概要 がんの罹患により休職中、或いは退職した治療段階がひと段落して就労を考え始めたがん患者に対する復職に向けた就労移行支援。就労や生き方に対する価値観をキャリアカウンセリングにより再構築し、ボランティアによる作業体験を通じて罹患後の心理状態や職務能力について評価する。それにより休職者は職場復帰の際に自分の体調や能力について会社に説明できるようになり、復職後の早期離職を抑制。離職者はハローワーク等で再就職支援を受ける際に診断前の自分の職務経験以外に罹患後の自分の能力と体調を説明することができ、再就職におけるミスマッチを抑制。
またボランティアによる作業体験は中小企業が引き受ける。その取り組みにより人手不足の解消や従業員の新しい働き方(働き方改革)の提案、両立支援に対する理解と制度整備を進める。企業ががん患者の作業を受け入れることで現在その企業に勤める従業員も罹患後の就労継続に安心感が生まれる。
事業期間 3年間
事業助成額 直接事業費13,710千円、管理的経費2,290千円、評価費702千円
審査・採択、フィードバックのポイント ・キャリアカウンセリングを基盤としたがんサバイバー自身への働きかけによる就労支援、中小企業を対象としたリハビリボランティア(移行モデル)はこれまでと異なる実際性、新規性がある。
・東京特定区の行政、リハビリボランティアの受け入れ協力先(中小企業)に具体的目途、横展開に繋がるモデル構想。
・患者目線で見た時、就労移行への不安と“ボランティア“というステータスへの納得性など患者の声をどう拾うか、キャリアカウンセリングという専門人材ならではの新しい相談モデルを。
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