がん患者・家族の新型コロナウイルスへの不安 ~サバイバーネットを通じた129人の声~

公益財団法人日本対がん協会は3月24~31日、協会が運営するがん患者・家族向けSNS「サバイバーネット」を通じて、がん患者さんらの新型コロナウイルスに対する不安の声を集めました。詳細は、がんサバイバー・クラブのお知らせ欄に記載しました。ここでは、感染した場合の重症化への不安、マスク不足を訴える声、医療崩壊への懸念など、寄せられた切実な声についての重要なエッセンスをご紹介します。
サバイバーネット登録者約1000人のうち、回答したのは129人。性別では男性が34人、女性が93人、不明2人。年代別では50歳代が最も多く54人、次いで40歳代39人、60歳代19人でした。地域別では関東地方が71人、近畿地方15人などで、がん種別では乳がんが最も多く43人、肺がん17人、大腸がん12人でした。

 
【感染重症化への不安】
多くの人が挙げたのは、がん患者が感染した場合の重症化への不安です。大腸がんで治療中の関東地方の女性は「抗がん剤治療中で免疫力が下がっています。感染すると重い症状が出るのではないかと心配です」と回答しました。大腸がんで治療中の別の関東地方の女性は「半年間、抗がん剤で治療したうえ、昨年末に肺の一部も切除しました。心肺機能も低下しています。この状態で感染したら、どのぐらいのリスクになるのでしょうか」と心配していました。
治療中の買い物、通院についても不安が寄せられました。胃がんで現在、定期検査で経過観察中だという東北地方の女性は「検査のため病院に行くには1時間半以上、電車に乗らねばならず、その間に感染するのではないかと思うと怖いです」。関東地方の女性は「買い物で人ごみに行かねばならないこともあります。免疫力も低下しています。感染したらどうしようか」と心配な胸中を記しました。
 
【肺を切除した方の悩み】
がん患者さんの中には、肺がんで肺切除をした方もおられます。四国地方の男性は「肺の5割を切除しました。慢性閉そく性肺疾患(COPD)の兆候もあり、感染すると重症化する可能性が高いと思う」と述べ、感染が不安で、外出して定期検査に行くことについても「躊躇する」と回答しました。気管支と肺のがんで治療中の東海地方の女性は「肺炎になると命に関わることになります。いつ感染するかと、不安しかありません」と記しました。
 
【マスク不足に対して】
消毒液やマスク不足で悩む声も多く聞かれました。肺がん治療中の九州地方の女性は「抗がん剤治療中だが、マスクが手に入りません。譲ってほしい」と切実に訴えました。関東地方の女性は「マスクや、自宅で傷口に使う滅菌ガーゼが病院の売店から消えました」。乳がん治療中の中国地方の女性は「自宅でのマスクの在庫が少なくなり、どこに行っても買えません。通院先の看護師さんたちですらマスクがなく、困っているようです。早く病院にマスクを優先的に回してほしい。持病がある方に処方箋でマスクが買えるようにしてほしいです」と訴えました。
 
【日頃の感染予防について】
日頃の感染予防策については、「手洗い、消毒、うがいを習慣づけている」という声があった一方で、「それだけで大丈夫でしょうか」という不安の声が聞かれました。乳がんで経過観察中の北海道の女性は「外出時にマスクはしていますし、アルコールジェルも持ち歩いています。手洗いも必死にしています。それでも不安です。帰宅したらシャワーをした方がよいか、洋服は外出するたびに、すぐ洗濯した方がいいのでしょうか」と質問しました。
関東地方の大腸がん患者の女性は「宅配便や郵便物、マンションのドアノブ、エレベーターのボタンなど、考えたらきりがないぐらい感染経路があって、どこまで気にしたらよいか分からないし、不安です」と記しました。
 
【医療崩壊への危機感】
医療崩壊への危機感を訴える声もありました。肺がんを患って経過観察中の関東地方の女性は「感染爆発で医療崩壊を招くことが一番怖いです。抗がん剤治療やほかの急病で病院に行きたい人の受診が断られたら、大いに困ります」。大腸がん経験のある関東地方の男性は「病院のベッド数や医師の数が不足することにより、がん手術を受けたい人が受けられなくなるのでは、と心配です」と記しました。
 
【その他】
各地で患者会や患者支援イベントが中止になり、肺がん治療中の関東地方の男性は「患者が『つらい』と言える場がなくなった。今こそ電話、メール、SNSなど何でも使ってサポートしなくては」と回答しました。
ほかにリンパ節を切除した方の悩み、血液がん治療中の方の悩み、ホルモン治療中の患者さんの悩みもありました。
 

日本対がん協会では「がん患者さんのための新型コロナウイルス対策」という特集ページを公開しています。がん患者は何に注意し、どう行動したらよいのか、がんや感染症などの専門医の方々に解説いただいています。詳しくはこちらからご覧ください。

緊急シリーズ: がん患者さんのための新型コロナウイルス対策
羽山ブライアン・がん研有明病院 院内感染対策部副部長、田村友秀・聖路加国際病院呼吸器内科部長、尾﨑治夫・東京都医師会長、中川恵一・東大附属病院准教授らのメッセージを動画で掲載しています。

今後もがん患者さんの不安を少しでも和らげるため、専門医の方々にお尋ねしてまいります。

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