2016年12月02日

お知らせ

兵庫県で教員向け「がんの教育に関する研修会」を開催しました

 兵庫県教育委員会と文部科学省は12月2日、教員や県内自治体の教育委員会の担当者らを対象にした「がんの教育に関する研修会」を神戸市内の県民会館で開催した。日本対がん協会と各地でがん教育を実践している佐瀬一洋・順天堂大学大学院教授と、岡山県内で数多くのがん教育出張授業を実施してきている西森久和・岡山大学病院血液・腫瘍内科助教の2人が講演。文部科学省が来年度からがん教育を全国的に展開する方針を示していることから関心も高く、研修会には定員一杯の約190人が参加した。
 研修会では、最初に講演した佐瀬教授が、悪性骨軟部肉腫という希少がんを患いながらも、多くの人に助けられ、乗り切ってきた体験をふまえ、教員ががん教育に取り組むにあたって、「様々な困難に直面したときにどうしていくのかを考える題材の一つにがんが使いやすいと考えてほしい」と語った。さらに「がん関する知識をどうするのかに圧倒されずに、先生方が日ごろから大切にされている命の大切さと思いやりという普遍的なものを、ぶれないようにがん教育の中心にしてもらいたい」と訴えた。
 西森助教は、がん教育の意義について「自分や家族ががんになった時にどうしたらよいのか、どう動けばいいのかを自ら切り開くための知識をがん教育で正しく得ることができる」と強調。さらに、岡山県内の中学・高校で実施してきたがん教育の実践から、教員ががん教育を行う上での注意点を指摘。たばことがんの関係をふれるときに「たばこがやめられない人が悪いというのではなく、たばこが悪い、と伝えてほしい」と話した。
また、がんに関して、今後生徒から質問される機会が増えることが予想されるため、がんに関する正しい情報源を共有しておくことを呼びかけ、岡谷県の「岡山県情報サポート」を例に、公的ながん情報発信サイトの利用を勧めていた。
 また、参加者からは、家族をがんで亡くした子どもへの配慮に関する質問が出ていたが、この点に関して西森助教は、がん教育の実施前に、保護者にがん教育実施のお知らせを送り、気になる点があれば知らせてもらうようにして、臨機応変に対応してきたことを紹介していた。

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