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日本人のがん、野菜と果物で予防できるか?
2003.01
坪野レポートから
野菜や果物に、多くのがんを予防する効果があると考えられてきました。その反面、欧米から報告される最近のコホート研究では、否定的なデータが相次いでいることを、2001年6月に解説しました。

日本人ではどうなのでしょうか。「国際がんジャーナル」2002年11月1日号に報告された、野菜・果物と胃がんについての厚生労働省コホート研究を紹介しながら考えてみましょう。
この研究は、岩手・秋田・長野・沖縄に住む40-59歳の男女39,993人を対象に行われました。1990年に自記式質問票を配布し、ほうれんそう・春菊などの「緑色野菜」、にんじん・かぼちゃなどの「黄色野菜」、白菜・大根などの「その他の野菜」、「果物」などの食品の摂取頻度をたずねました。 1999年末まで10年間の追跡調査を行ったところ、404人が胃がんにかかっていました。

その結果、「緑色野菜」を「週1日未満」しか食べないグループと比べると、「週1-2日」食べるグループでは、胃がんの発生率が0.79倍に下がっていました。「週3-4日」では0.80倍、「ほとんど毎日」では0.77倍に下がりました。また、「果物」を「週1日未満」しか食べないグループと比べると、「週1-2日」食べるグループの胃が「週1日未満」しか食べないグループと比べると、「週1-2日」食べるグループの胃がん発生率は0.68倍に下がり、「週3-4日」では0.67倍、「ほとんど毎日」では0.70倍に下がりました。
野菜や果物によるがん予防というと、摂取量が増えれば増えただけ、リスクもどんどん下がっていくようなイメージがあります。ところが今回の研究では、「週 1-2日」という少ない摂取でも、20%−30%のリスク低下があるかわりに、摂取頻度がさらに増えても、それ以上リスクは下がりませんでした。「黄色野菜」と「その他の野菜」についても、同じような結果でした。

今回の対象者のうち、たとえば果物を「週1日未満」しか食べない人は、わずか8%に過ぎません。胃がんのリスクが高いのは、そうした少数派のみで、残りの大部分の人たちでは、野菜や果物の摂取頻度が多くても少なくても、胃がんのリスクは変わらなかったわけです。

野菜や果物のがん予防効果を否定する、欧米のコホート研究の多くは、保健専門職や市民のボランティアなど、健康に対する意識が一般の住民より高い集団を対象にしています。そのため、野菜や果物の摂取量も、一般の住民より多い可能性があります。もともと摂取量が多く、がん予防に必要な分をすでに食べている集団の中で、相対的な摂取量の大小によってグループに分け、リスクを比べているため、予防効果が検出できなかったとも考えられます。

日本人のがんを予防する上で、野菜や果物に効果はあるのか。どれだけ食べればよいのか。今回の研究ひとつで結論は出ないので、コホート研究がもっと必要です。けれども、がんの予防に必要な野菜と果物の摂取量は、私たちが思っているより、ずっと少なくて済むのかも知れません。
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