「東京から肺がんをなくす会」が1993年から98年までに行ったヘリカルCTによる肺がん検診で発見された36例の肺がん患者の5年生存率は、初回発見14例で76%、経年検診発見22例で65%、両者を合わせて71%であった。国立がんセンターのグループによるこの研究は、ジャーナルオブクリニカルオンコロジー2002年2月15日号に報告された。
論文の著者である、国立がんセンター研究所がん情報研究部室長の祖父江友孝氏に、以下解説してもらった。
これまでわが国では、肺がん検診は胸部X線と喀痰細胞診を組み合わせて行われてきたが、死亡減少効果についての国際的なコンセンサスは得られていない。最近のわが国の研究により、胸部X線については死亡率減少効果はあることが示唆されているが、効果の大きさは十分とは言えず、よりよい検診方法が望まれていた。
ヘリカルCT(らせんCT)は、これまで胸部X線では見つけにくかった10mm程度の腫瘤陰影を容易に検出することができ、次世代の検診方法として関心を集めている。
論文の著者である、国立がんセンター研究所がん情報研究部室長の祖父江友孝氏に、以下解説してもらった。
これまでわが国では、肺がん検診は胸部X線と喀痰細胞診を組み合わせて行われてきたが、死亡減少効果についての国際的なコンセンサスは得られていない。最近のわが国の研究により、胸部X線については死亡率減少効果はあることが示唆されているが、効果の大きさは十分とは言えず、よりよい検診方法が望まれていた。
ヘリカルCT(らせんCT)は、これまで胸部X線では見つけにくかった10mm程度の腫瘤陰影を容易に検出することができ、次世代の検診方法として関心を集めている。
「東京から肺がんをなくす会」では、世界に先駆けて1993年からヘリカルCTによる肺がん検診を開始した。1998年までに1,611人の人に対して半年ごとに9,502回の検診を行った。
ヘリカルCTの要精検率は、初回検診で12%、経年検診で9%、肺がん発見例(率)は、それぞれ、14例(0.87%)、22例(0.28%)、発見例におけるIA期の割合は、71%、82%、平均腫瘍径は、19.8mm、14.6mmと従来の肺がん検診に比べて良好な成績であった。これは、ニューヨークのコーネル大学や信州大学のグループが報告した成績とほぼ一致している。
今回の報告の最大の特徴は、発見時の肺がんの特性だけでなく、5年生存率を実測して報告した点にある。国立がんセンターのグループは検診開始時期が早かったため、ヘリカルCT発見肺がんの5年生存率を世界で初めて報告できた。加えて、要精検率や肺がん発見率を、性、年齢、喫煙状況、受診回数別に集計し、精密検査の過程を検査の種類別に報告するなど、情報を共有するための努力がなされている。
ヘリカルCTの要精検率は、初回検診で12%、経年検診で9%、肺がん発見例(率)は、それぞれ、14例(0.87%)、22例(0.28%)、発見例におけるIA期の割合は、71%、82%、平均腫瘍径は、19.8mm、14.6mmと従来の肺がん検診に比べて良好な成績であった。これは、ニューヨークのコーネル大学や信州大学のグループが報告した成績とほぼ一致している。
今回の報告の最大の特徴は、発見時の肺がんの特性だけでなく、5年生存率を実測して報告した点にある。国立がんセンターのグループは検診開始時期が早かったため、ヘリカルCT発見肺がんの5年生存率を世界で初めて報告できた。加えて、要精検率や肺がん発見率を、性、年齢、喫煙状況、受診回数別に集計し、精密検査の過程を検査の種類別に報告するなど、情報を共有するための努力がなされている。
従来の肺がん検診による発見肺がん患者の5年生存率は、30~40%と報告されているので、今回の成績はヘリカルCTが有望な検診方法であることを示している。しかし、生存率による評価は、効果を過大に見積もることが知られているので、適切な方法により死亡率減少効果を直接評価することが緊急の課題であると結論している。
加えて、検診は死亡率減少をはじめとする利益をもたらすが、同時に不利益ももたらす。この報告では、検診がもたらす不利益として、ヘリカルCTは胸部X線に比べて要精検率が高く精密検査における生検などの侵襲的な検査の頻度が増える、術後の感染症による死亡があった、過剰診断の危険性がある、の3点を上げ、一般の人々にヘリカルCTを推奨する前に、これらの不利益に関する情報をより大きな対象集団で観察をして、利益が不利益を上回ることが確認することが必要としている。
加えて、検診は死亡率減少をはじめとする利益をもたらすが、同時に不利益ももたらす。この報告では、検診がもたらす不利益として、ヘリカルCTは胸部X線に比べて要精検率が高く精密検査における生検などの侵襲的な検査の頻度が増える、術後の感染症による死亡があった、過剰診断の危険性がある、の3点を上げ、一般の人々にヘリカルCTを推奨する前に、これらの不利益に関する情報をより大きな対象集団で観察をして、利益が不利益を上回ることが確認することが必要としている。
がん検診の死亡率減少効果を正しく評価するには、ランダム化比較試験を行うことが国際的な標準方法となっている。アメリカがん研究所は、ヘリカルCTによる肺がん検診のランダム化比較試験を行うためのパイロット研究を昨年から開始している。一方、わが国では、ランダム化比較試験を行うための研究計画書が作成されたものの、総額24億円の研究費の確保が困難なため、いまだ実現のめどが立っていない。
ヘリカルCTの自動読影技術はわが国が世界の最先端を走っている。わが国で世界に先駆けて着手をしたヘリカルCTによる肺がん検診の最終的な評価を、是非ともわが国の手で実現したいものだ。
出典Sobue, T et al. Screening for lung cancer with low-dose helical computed tomography: Anti-Lung Cancer Association project. J Clin Oncol 2002;20:911-920.
ヘリカルCTの自動読影技術はわが国が世界の最先端を走っている。わが国で世界に先駆けて着手をしたヘリカルCTによる肺がん検診の最終的な評価を、是非ともわが国の手で実現したいものだ。
出典Sobue, T et al. Screening for lung cancer with low-dose helical computed tomography: Anti-Lung Cancer Association project. J Clin Oncol 2002;20:911-920.
