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WHO主催「神戸たばこ会議」の宣言(1999.11.18)
世界保健機構(WHO)主催の「たばこと健康に関するWHO神戸国際会議」(WHO International Conference on Tabacco and Health, Kobe)が1999年11月14日から18日まで神戸市のポートピアホテルで開かれ、「神戸宣言」が発表された。
会議には、ブルントラントWHO事務局長ら内外から約200人、国内から約300人が参加し、とくに女性と青少年の喫煙を食い止めようとの方向で、13テーマの研究発表があり、討議が広げられた。(後援は、厚生省、兵庫県、神戸市)
最終日に採択された「神戸宣言」の全文は、次の通り。(正文は英語で、日本語の仮訳《最終版》を掲載します。)
KOBE DECLARATION  神戸宣言(仮訳)
1999年11月18日
 我々、1999年11月に日本の神戸で『たばこと健康に関するWHO神戸国際会議』に集った、女性と若者のリーダー、非政府組織(NGO)代表、政府代表政府関係者、メディア専門家、学者、保健専門家、科学者、及び政策立案は次のことを深刻に懸念するものである。
1.  喫煙の流行は、公衆の健康に仮借ない災禍をもたらす。いかなる社会もその害から逃れることはできない。世界的には、既に2億人の女性喫煙者が存在し、たばこ会社は女性と少女に喫煙させるためのキャンペーンを世界規模で積極的に行っている。2025年までに女性喫煙者の数はほぼ3倍になると予測されている。たばこはその愛好者となった消費者を死に追いやる製品である。1日あたり11,000人、年間では400万人がたばこに関連した原因で死亡している。現在の傾向が続くならば、喫煙は地球上の病気の約10%を占め、死や障害を招く最も大きな原因となるという事態に世界は直面することになる。たばこの危険性に対する包括的な解決策を見つけ、女性や少女の喫煙流行に手段を講じることが急務である。
2.  科学的証拠が示した結論は、たばこは、死や障害など生涯にわたる健康問題を引き起す多数の毒素を含むということである。女性喫煙者ががん-特に肺がん-、脳卒中、肺気腫などの生命にかかわる疾病にむしばまれる危険性が著しく増加している。さらに、たばこと環境たばこ環境煙がもたら女性特有のリスクとして、妊娠、出産への悪影響や妊娠中の合併症がある。
3.  たばこ関連疾患は、世界規模で罹患率を高め、持続可能な開発と全人類の幸福という目標に反するものである。たばこ使用は、世界経済に対し年間2千億米ドルの純損失を生み、これらの損失の半分は低所得諸国で発生する。低所得諸国や農山漁村に住む女性や子供特に貧困の中に生きる者に降りかかる人的、社会的、そして経済的なコストは計り知れないものがある。低諸国の国々では多国籍たばこ会社は、経済構造調整政策により経済的苦境がもたらされ、保健や教育の資源が厳しく限られている最中に、ような低所得の国々多国籍たばこ会社がにその触手を伸ばしてきている。
4.  多国籍たばこ会社は、隙がなくかつ考え抜かれた戦略を実施し、特に人口の多い開発途上国において、たばこのマーケットを女性や子供たちに広げようとしている。たばこ産業は国際経済のグローバル化の過程を巧みに操っている。たばこ産業は、たばこをあたかも健康・自由・痩身・現代性といったイメージと関連があるかのように売りつけている。
5.  各国政府や国際社会に課せられた緊急課題は、性差ジェンダーを考慮した効果的なたばこ抑制戦略を開発し、貧しい女性や少女を対象としたたばこ抑制プログラムに十分な資金を割当てることである。増税やたばこ広告の禁止などの効果的な反たばこ戦略を実施してきた国々がある一方、多くの政府は生産者、輸出者、補助金供与者として、未だにたばこ産業との直接の関係を有している。
  我々は、次のことを決定決議するものである。
6.  たばこ対策のための枠組条約には、あらゆる側面から女性特有の問題と展望を踏まえ、女性の議定書を組み入れることを求める。条約とそれに関する議定書の作成と実施の監視にあたっては、女性の代表とNGOの積極的な参加を求める。条約とその関連議定書の批准については留保なく、すべての加盟諸国の批准を求める。
7.  政府や民間部門に対し、たばこ産業への支援やたばこの輸出を中止させること、また、あらゆるたばこ製品に対し価格の約2/3~3/4の水準まで税率を引き上げるよう財政政策を再構築することを勧告する。女性のための雇用機会を拡大し、たばこ生産を転換するプログラムを提供しうる政策を推進する。たばこ歳入の増加分は、たばこ抑制プログラムに充てるとともに、これまでたばこ産業により後援されて来た市民のスポーツ・文化行事に充てる。
8.  あらゆるメディアを通しての、また、あらゆる形の娯楽においての、たばこ産業による、直接的・間接的な広告、販売促進と後援活動を世界的に禁止することを求める。また、女性開放とたばこの使用を切り離すための反対広告を、どのような文化的背景であっても確実に女性や少女にメッセージが届くような形で行うための公的資金を投入することを求める。たばこに係る登録ブランド・ロゴ・商標の商用使用やたばこの自動販売機はを世界的に禁止するされるべきである。
9.  社会における男女平等は、たばこ抑制戦略に不可欠な要素たるべきであり、かつ女性のリーダーシップは成功への必須条件である。
10.  異なる文化的背景における女性や少女の多様性と必要性を考慮した、女性に特化した戦略を開発する。この戦略には無煙環境の創出、環境たばこ煙(ETS)への曝露の低減及び一般市民への啓発を促し、また、たばこの流行・喫煙開始・たばこ消費を低減するための効果的な戦略の採用が盛り込まれるべきである。
11.  多面的なアプローチを通じてのたばこ製品に対する戦いに、NGO、コミュニティー、宗教団体、メディア、女性や青少年の組織、学会を動員する。
12.  あらゆるレベルの正規教育において、メディアからの情報を見分ける能力を含むたばこ抑制についての健康教育を行うことを要請する。たばこ抑制について、健康づくりの専門家のためのトレーニング・プログラムを開発する。女性の人的資源を開発し、たばこと戦うことのできる能力を向上させるための仕組みとして、女性全体に教育投資を行う。
13.  女性・少女とたばこについての研究や啓発活動に対する公的資金を増額する。そして研究結果を広く一般市民に還元する。
14.  WHOの地域事務局ならびに加盟諸国の現地事務所において、WHO本部のたばこ抑制戦略を確実に展開する。WHOは世界規模の、特に移行期経済諸国ならびに低所得諸国において、最善策とすべきたばこ抑制情報・ガイドラインを考案し提供する。
15.  女性2000年会議:国連総会特別会期において、「女性と健康」と「女児」に対するたばこの悪影響と戦うための勧告を盛り込む。同様に、たばこ抑制のための環境対策を「2002年地球サミット(国連環境開発会議)」の検討・評価に、また、他の関連する国連国際会議のフォローアップセッションに組み込む。
16.  女性と子供の健康に対する権利の原則を人権として守る。また、「子供サミット」、「国連環境開発会議」、「国連人権会議」、「国連人口開発会議」、「社会サミット」、「第4回世界女性会議」、「国連人間居住センター(ハビタット)」、「食糧サミット」の結果に基づき、さらに「児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)」、「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約」、「人権規約」、「先住民保護のための宣言起草案」、ジェンダー・健康と開発・「アルマ・アタ宣言」を強調した「世界保健総会決議」の成果を土台とする。
この神戸宣言に関連して、日本たばこ産業(JT)は、11月18日、次のようなコメントを発表した。
「たばこと健康に関するWHO神戸国際会議」が女性と青少年を中心議題に開催され、11月18日に「神戸宣言」が採択された。
当社としては、たばこは長年にわたり生活に定着し、親しまれてきた大人の嗜好品であり、適度に喫煙するかしないかは、男女を問わず、健康に関する情報を認識した上で各人が判断すべきものと考えている。
  また、未成年者の喫煙については当然回避されるべきものと考えている。
その防止については、基本的には家庭教育をはじめとする関係各方面による努力によって解決しなければならない問題であると考えているが、その社会的要請に対応し、当社としても関係団体等と連係しつつ未成年者喫煙防止に関する諸対策を行っており、その活動を今後とも継続していきたいと考えている。
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