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トップ  >  「がんとの闘い」ほほえみ大使 アグネスが聞く > インタビュー第四回 「セカンド・オピニオンは治療を始める前に聞いて」
人はなぜがんになるのか、がんは治せるのか、日本のがん医療は……。日本対がん協会の「ほほえみ大使」、アグネス・チャンさんが、がん医療に携わる医師や研究者にインタビューして研究や治療の最前線を紹介する「アグネスが聞く」。

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インタビュー第四回「セカンド・オピニオンは治療を始める前に聞いて」佐々木康綱 埼玉医科大学教授(腫瘍内科)
がんは手術でとるもの。多くの人はそう考えています。近年は手術は数ある治療法の一つ、というとらえ方になっているようですね。

 「人はなぜ、がんで亡くなるのか。学生への講義でこう話しています。それは、全身病化するからだと。全身のいろんな臓器、組織に転移していく。そういう前提でがんを考えなければいけない。それなのに、がん治療は、かつては、早期発見・早期切除で終わっていました。行政を含めて全身病だという考え方が浸透しませんでした。一つには(効く)薬がなかったので仕方ない面もあるのですが」

薬による治療が劇的に変化したのはいつごろからですか。

「乳がんでは1980年代に今の化学療法の基礎ができ、90年代にも抗がん剤の開発が相次ぎました」

がんの種類によって違いがあるのですか。

「治療法が非常に進んだがんとそうではないがんがあります。がん死の1位を占める肺がんは、治療法の改善が望まれるがんの一つですが、なかなかやっかいです。肺がんの80%は非小細胞肺がんというタイプで、20%は小細胞肺がんというタイプです。小細胞肺がんには抗がん剤が比較的効きやすい。局所にとどまっている場合には、放射線と抗がん剤を同時に使って一部の方は治せます。ただ残念ながら、見つかった時にすでに転移している患者さんが多い。早期発見は今も重要な課題です」

「非小細胞肺がんに対しては、分子標的治療薬という、がんの増殖などにかかわる特定の物質を狙ってやっつけようという新しい薬も登場しましたが、この20年、大幅な治療成績の向上は見られていません。昔、国立がんセンターの肺がんグループにいたころ、大腸がんの治療は非常に大変だと思いました。当時、進行した肺がんの生存期間(中央値)が8カ月ほど、大腸がんは6カ月か、もっと短かったんです。その大腸がんが20年たった今になって25カ月ほどに延びたのに対し、肺がんは12カ月ぐらい。大腸がんの抗がん剤の開発が進み、5年でがらっと様相が変わりました」

中村祐輔 東京大学医科学研究所教授 ヒトゲノム解析センター長

第一回 「がんワクチンに期待」

中村祐輔 東京大学医科学研究所教授
ヒトゲノム解析センター長
垣添忠生 日本対がん協会長

第二回
「子どもをたばこから遠ざけよう」

垣添忠生 日本対がん協会長
中村清吾 聖路加国際病院乳腺外科部長ブレストセンター長

第三回 「とにかく検診を」

中村清吾
聖路加国際病院乳腺外科部長
ブレストセンター長
佐々木康綱 埼玉医科大学教授(腫瘍内科)

第四回 「セカンド・オピニオンは
治療を始める前に聞いて」

佐々木康綱
埼玉医科大学教授(腫瘍内科)

第五回

第六回 

 
 
ほかには?

「腎臓がんと肝臓がんです。肝がんはアジア地域に多いがんですが、効果的な抗がん剤がありませんでした。まだ日本では認可されていませんが、分子標的治療薬で、かなり良い成績のものが出てきています。このように最近は開発が進んできました。でも、今までは、抗がん剤のイメージが悪すぎました」

そうですね。抗がん剤という言葉を聞くだけですごく怖いという印象があります。私は、抗がん剤を使う必要はなかったのですが……。抗がん剤の効く仕組みを教えて下さい。なぜ副作用は重いのか、も。

「抗がん剤とか、化学療法薬と呼ばれているものにはいろいろなメカニズムがあるのですが、基本的にはDNAの合成を阻害したりしてがん細胞の増殖を抑えます。正常な細胞もDNAの合成をしていますが、正常細胞より、がん細胞の方が分裂が盛んで、DNAの合成も速いので抗がん剤の影響を受けやすいんです」

インタビュー第四回「セカンド・オピニオンは治療を始める前に聞いて」佐々木康綱 埼玉医科大学教授(腫瘍内科)
佐々木康綱(ささき・やすつな)
長野県出身。80年、昭和大医学部卒。

国立がんセンター中央病院、米メリーランド州立大がんセンター客員研究員、国立がんセンター東病院化学療法科医長を経て02年より現職。
日本臨床腫瘍学会理事。
日本癌学会評議員。
数多くの抗がん剤の研究開発に携わる。

 

正常な臓器も、頻繁に細胞が入れ替わる場合は、がん細胞と同じくらい細胞分裂が速いのでやられてしまうのですね。

「そういうことです。例えば髪の毛を作る毛母細胞や造血作用のある骨髄の細胞、それに腸の細胞などです。これも講義で話すのですが、血圧を下げる薬を開発する場合、血圧は十分に下がる物質を開発したとしても、同時に髪の毛も抜けるのであればそれは薬にはなりません。でも抗がん剤は違います。がんが小さくなる効果があれば髪の毛が抜ける副作用があっても薬として認められる。抗がん剤を使うのは命に直面した患者さんなので、それくらい副作用があっても、それを上回る効果があれば薬になるのです」

髪の毛が抜けるということは抗がん剤が効いている、ということですか。効いているのなら、抜けても我慢できると思います。

「必ずしもそうとは言えません。患者さんは、白血球が下がったり吐いたりするのは効いている証拠ですねと言われるのですが、副作用が出るということと、有効であるということがつながっていないんです。そこが今の抗がん剤の大きな問題です。一方で副作用が全くない場合、薬の量が足りてないので効果も見込めないこともあるので慎重に判断する必要があります」

「これまで、がんの大きさや、リンパ節転移の有無などをみて抗がん剤を使うかどうか考えてきました。がんが小さくて転移もなく、手術でとりきれ、手術後に抗がん剤は使う必要はないと判断されたような場合でも、中には再発する患者さんも現実にいます。どういう患者さんが再発しやすいのか、遺伝情報を基に見極めて薬を使い分けようという研究が進み、個別化医療が現実味を帯びてきています」

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