日本対がん協会は、がんの知識の普及、啓発や、がん検診によるがん予防運動を全国的に展開しています

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人はなぜがんになるのか、がんは治せるのか、日本のがん医療は……。日本対がん協会(垣添忠生会長)の「ほほえみ大使」、アグネス・チャンさんが、がん医療に携わる医師や研究者にインタビューして研究や治療の最前線を紹介する「アグネスが聞く」。

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インタビュー第二回「子どもをたばこから遠ざけよう」垣添忠生 日本対がん協会長
医療費というと削減の話しか聞こえてきませんが、がん対策でもそうなのですか。

「最近、非常にうれしいことが相次いでいます。市町村の実施しているがん検診で、総務省が交付税を増やすことを決めました。これまで約650億円だったのが倍増されました。それに今年度の補正予算でも乳がんと子宮頸がんの検診が一部無料化されました。乳がんでは40歳から5歳刻みで60歳まで、子宮頸がんでは20歳から40歳まで5歳刻みで、それぞれ無料クーポン券が送られています。がん検診の手帳も送られています。これは画期的なことで、ほんとにうれしい。この機会を利用して、是非とも検診を受けてほしいと願っています」

以前のように、がん検診に特定した財源になったのですか。

「いえ、そうではありません。だけど従来のままだったら、がん対策推進基本計画に挙げた検診受診率『50%以上』の目標達成が難しいと思われていたのですが、それを達成しようという厚生労働省の説明を総務省が分かってくれたと理解しています」

その金額で十分なのですか。

「十分ではないにしても、今までとは全然違います。市町村も財政事情が良くないから、がん検診にも(受診率が低い)前年並みぐらいの予算しか割けない。それでは50%は達成できるはずがないんです」「ただ交付税なので地方の裁量でほかのことに使うこともできる。それは何とかして防いでもらわなければいけない。受診率の実績を報告してもらって、増えていなかったら、なぜなのか厳しく聴かなければ、と思っています」

そのがん対策推進基本計画ですが、取り組まなければいけないことが順を追って分かりやすく分類されています。

「基本計画もそうですが、がん対策基本法は、それに基づくがん対策推進協議会ができた背景には、患者さんやご家族の強い要望があるんです。化学療法とか放射線療法とか、自分の住む地域で受けたい医療が受けられないという地域間格差、受診した病院のがん診療に差があるんじゃないかという病院間格差、それと、信頼に足る情報がどこで得られるのかという情報の問題。大まかにいうと、この三つに対応しようというのが基本計画なんです」

中村祐輔 東京大学医科学研究所教授 ヒトゲノム解析センター長

第一回 「がんワクチンに期待」

中村祐輔 東京大学医科学研究所教授
ヒトゲノム解析センター長
垣添忠生 日本対がん協会長

第二回
「子どもをたばこから遠ざけよう」

垣添忠生 日本対がん協会長

第三回 

第四回 

第五回

第六回 

 
 
情報というのはがん患者さん向けですか。

「患者さん、家族向けの情報はとても大切です。例えば、がんというのはどんな病気なのか、どういう生活に注意しなければいかないかといった一般の方に対する情報もあります。がんの疑いがあるとか、がんであるとかと言われた時にどうするか、そういう情報もあります。それに医師や看護師ら医療従事者向けの情報もあります」「がん診療連携拠点病院には相談支援センターを必ず設けることになっていて、がんに対する不安をもっている一般の方や、ふだんの生活で悩みを抱えているサバイバーの方、そういう方々の相談にこたえる態勢がかなり充実してきました。それを担当する人のトレーニングも行っています。その一部として、日本看護協会が設けたがん専門看護師などの活動も活発です」

重点が指摘されているから、私たちも自分のやるべきことを理解しやすい気がします。

「そうなんです。国民の方々も責任を自覚して行動に移してほしい。それに、都道府県によってがん対策にかける予算に大きな差があるんです。がんに関するいろんなデータを、自分の住んでいる自治体とほかを見比べて、成績が悪かったら、どうして私の地域はこんなに悪いのか、住民の方々が怒るべきなんです。それが行政へのプレッシャーになりますよね。それがこうした情報公開の大きな意味の一つです」

垣添忠生(かきぞえ ただお)

東京大学医学部卒。東大病院、都立駒込病院などを経て1975年に国立がんセンター泌尿器科医員。国立がんセンター中央病院長などを経て2002年に国立がんセンター総長。07年に同名誉総長。国のがん対策推進協議会長を務めている。
 

そうか、私たちのところはがん対策に頑張っていないのか、もっと頑張ってよ、と声を上げるきっかけになりますね。みんなで盛り上げていくことが大切なんですね。

「そういう意味でもリレー・フォー・ライフはいいですね。この3年、実施する地域が順調に増えていますが、がんに関係する人たちだけじゃなくて、子どもも含めて一般の方々がもっともっと参加してくれるようになると本当に国民の間に運動が定着することになると思います」

小さかったころ、香港で福祉のための募金でみんな集まって走った覚えがあります。走った分、例えば1キロ10円とか寄付するんです。リレー・フォー・ライフにも学校ごと来てくれるといいですね。

「子どものころから、がんのことを少しずつ、たばこはいけないとか、食事はおいしくバランスとってとか、ある年になったら検診を受けるといったことを早くから知ってもらうチャンスになりますしね」

リレー・フォー・ライフの予備週間のみたいな感じで小中学校でイベントをするとか。

「小中学校に働きかけてリレー・フォー・ライフの会場に子どもたちに来てもらって、クイズ形式で楽しみながらがんを学ぶのもいいですね」

別にがん予備群だから、というわけじゃないんですけど、健康な方、一般市民の方々を巻き込まないと大きな力になりません。

「いま世界的な不況の中でがんにお金をかける、というと、何を言っているんだ、という声もあるでしょう。でも、確かにいろんな厳しい状況があるけれど、がんの問題だけは我が国は心配ありませんよ、ということになると、国民にとってすごい安心につながります。気分的にも抑鬱された状況の中で、発想を転換するのも大切だと思うのですが……」

早期発見ができたら治療もすぐにすむ。そうすると国や病院の負担も減るわけですし、その人が働けないと税金も払えない。

「乳がんにしても子宮頸がんにしても胃がんにしても大腸がんにしても、日本人がなりやすいがんは一般的に長い時間がかかって悪くなっていく。だから健康だと思っている時、まだ症状がない時に早く見つけて治療をすればすぐに元気になるケースが多いんです」「長く医者をしていて、多くの患者さんを治療しましたし、専門以外のがんの患者さんを紹介してきました。でも、いま申し上げたような早期発見が可能ながん、ちゃんと早期発見できる手段があるがんなのに、進行がんで見つかり、亡くなる人をたくさんみてきました。残念の極みです。せめて1年前に気づいていたら。2年前に来てくれていた何とでも治せたのに。そういう人はいまだに少なくありません。何で検診を受けなかったんだろう、何でたばこを吸い続けていたんだろう、その時になって悲しい思いをする人を1人でも減らしたい」

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